エクスペリエンス管理(XM)の実行を促すためには一元化が必要、従業員エンゲージメント調査結果も発表
クアルトリクスの2021年戦略、包括的な「XMOS」プラットフォームへ
2021年02月24日 07時00分更新
クアルトリクスは2021年2月22日、カントリーマネージャーの熊代悟氏が出席して2021年の国内ビジネス戦略説明会を開催した。2020年はコロナ禍で従業員エクスペリエンス(EX)分野を中心に需要が高まり、日本市場では前年対比259%の売上となったという。2021年は「エクスペリエンス管理(XM)」の普及加速を目標に掲げ、包括的な「XMOS」プラットフォーム戦略を進めることも明らかにした。
また、今回の説明会では従業員エンゲージメントに関する調査結果と分析についても紹介された。
エクスペリエンス管理の認知がアップ、売り上げは前年比259%増
熊代氏はまず2020年の振り返りとして、市場のトレンド、同社のソリューション、体制の3つの面から報告した。
熊代氏は「2020年も堅調な成長を遂げることができた」と語る。コロナ禍で多くの企業で仕事環境そのものが激変する中、クアルトリクスではリモート/オンサイトで働く従業員へのケアを図るXMソリューション「リモート+オンサイトワーク パルス」を期間限定で無償提供し、数百社が導入した。こうした活動が、クアルトリクスやXMに対する関心につながる好循環を生んだと分析する。
また、アンケートやサーベイのプラットフォームがあっても設問をどうすればいいかわからないという声に応え、約60種類の設問テンプレートを日本語で提供したほか、クアルトリクス製品の利活用についての教育コンテンツ「ベースキャンプ」の日本語対応も進めるなど、国内サポート体制を強化した。
日本の事業体制については、1年前のほぼ倍となる60名近くの社員を擁している。国内導入顧客は200社以上となり、ここにはLIXIL、富士通、ヨドバシカメラなども名を連ねる。パートナーも増え、日本IBMや富士通などと新たに提携した。こうした取り組みが、売上高が前年比259%という成長につながっている。
2021年は「XMOS」を打ち出しプラットフォームに
2021年はグローバルのクアルトリクスとしても節目の年となる。1月28日には米国NASDAQ市場へのIPOを果たした。2019年に買収されたSAPのグループ会社ではあるものの、「(XMは)新しい市場なので、いろいろなかたちでクイックにアクションを起こすために、戦略的に上場した」と熊代氏は説明する。
2002年に創業し、大学研究機関向けの調査プラットフォーム、企業向けの調査プラットフォーム、そしてエンタープライズ向けの各種エクスペリエンス管理と変化を続けてきたクアルトリクス。現在はまた新たなステージに入りつつあるという。
ここで熊代氏が紹介したのが「XMOS」だ。エクスペリエンス管理の重要性は次第に認知されつつあるものの、その実現や実行となると困難さがある。その理由は「一元化されていないため」だと、熊代氏は指摘する。エクスペリエンス管理(XM)製品群を“XMのOS”、つまりプラットフォームとして位置付け、エクスペリエンスのデザインから運用、改善までを包括的に支援することを目指す戦略だという。
エクスペリエンスプラットフォームとしてのXMOSは、顧客の声を聞いて記録「Experience Design」、調査結果の分析からインサイトを得て次のアクションを起こすための施策を練る「iQ」、改善運用の「xFlow」の3要素を持つ。
日本市場における取り組みとして、熊代氏はまず「ワクチン接種支援管理ソリューション」を紹介した。これは政府自治体における大規模な新型コロナウイルスワクチン接種を管理するソリューションだが、単にWeb予約や2回目接種のリマインダー、接種証明書の発行ができるだけでなく、ワクチン接種に対する不安など市民の心情や接種後の副作用をヒアリングできる機能も備えている。クラウドソリューションとして、数週間程度の短期間で導入できる点も特徴だ。すでに欧米では複数の自治体で採用されているという。
また「ストレスチェック ソリューション」もアピールした。これは、厚生労働省が企業に義務づけている年次ストレスチェックを、クアルトリクスのEXプラットフォームに載せたもの。従業員エクスペリエンス(EX)調査の一環としてストレスチェックを実施し、他の調査結果との相関関係も見ることができるという。
こうしたソリューションの拡充に加えて、ビジネス体制もさらに強化していく。社員の増員にとどまらず、顧客に対して専門的なアドバイスができるソートリーダーシップを強化していくという。またコンテンツの発信や、パートナーアライアンスの強化についても積極的に取り組むと述べた。