Clubhouseのレビューのつもりが……
巷では、「Clubhouse」(音声配信SNS)が話題になってます。「それじゃあ……!」と、レビューを書こうと思ったら……運悪く喉にポリープができ、緊急入院+緊急手術、「しゃべるの禁止」ということになりました。
これって、今まで「ブームにのらない、逆張り人生」を過ごしてきた筆者への報いでしょうか。Clubhouseは招待制なので、招待してくれる友人もいないかもしれないし……。
なんと、月間アクティブユーザー6300万人
というわけで、今回はnoteについて書こうと思います。ご存知のように、noteは「文章を書くことに特化した」メディアプラットフォーム。
なんと、月間アクティブユーザー(MAU)が6300万人、登録者数260万人(2020年5月時)だそう。ちなみに、TwitterのMAUが4500万、FacebookのMAUは2600万(共に国内、2021年2月時)。noteはSNSとは違いますが、なかなかのプラットフォームに成長しています。
ここ2ヵ月間、noteを使っていて気がついたことがあります。まず、TwitterなどのSNSを連動させると面白いこと。これについては、あとで詳しく説明しましょう。
また、5日間の入院中、ノートPCやiPadをベッドサイドに持ち込みましたが、YouTubeにしてもサブスクの映画にしても、今一つ集中できずに楽しめませんでした。
そんな中、もっとも活用できたのがnoteで、楽しくて時間が経ちやすく、ストレス解消にもなり一石二鳥。緊急事態宣言もあり、病室では面会禁止、外出禁止だったことも、活用に拍車をかけました。
やさしい家族のような編集者
筆者が一番面白いと思ったnoteの特徴は、そのインターフェイス。投稿前の下書きを保存するたび、投稿するたびに「お疲れさまです!」「がんばりましたね!」などのダイアログがあらわれます。
筆者はいままで7冊の本(共著を含む)執筆と、4つの商業誌の連載をしてきました。実は、著者と編集者の関係って、みんなが想像するのと少し違っていて、けっこうクールなんです。「できる限り読者に良い記事を読んでもらいたい」「誤解されないように、事実誤認のないように」という熱意から「赤が入る」(文章修正の依頼)こともよくあります。
編集者は「ファースト読者」というよりは、そんなクールな関係です。もちろん、筆者にとっては、とてもありがたいことなんですが……。
一方で、noteは、記事をドラフト(下書き)を保存するときは「また会えるのが楽しみです!」とか、投稿すると「すごい。○週間連続の投稿です!」とか。また、サイトにアクセスすると「300個のスキをもらいました!」なんて、甘い言葉をかけてくれたり、いろんなバッジをもらえたり。まるで、やさしい家族が、投稿を勇気づけてくれる感じでしょうか。
以前、自動車専門誌のインタビューで「ポルシェなど、外車に恋人みたいな派手さと手間があるとしたら、今の愛車(某国産車)は気が利く家族のような感じかな……」と答えたことがあります。結局、ストレートすぎて、その部分はボツになりましたが。リアルな編集者とnoteのインターフェイスの違いで、そんな話を思い出しました。
もちろん、noteは、赤を入れてくれたり、文字を直してくれたりはしません。しかし、そんな(やさしく、執筆者を甘やかしてくれる)対話型のインターフェイスは、暗いニュースばかりに触れがちな今の状況下、入院で気分が落ち込んでいる筆者にはピッタリでした。
SNSと組み合わせ、読者の広がりも
Twitterにしても、ブログにしても、noteにしても、「多くの人に読んでもらいたい」「自分の仕事や人生をひろげたい」、すなわちフォロワーを増やしたいという想いは、ユーザー共通の願いでしょう。
でも、筆者がnoteをはじめた理由は、少し違っていました。数年前に「Hanako」(マガジンハウス)で人生相談を連載していたこともあり、今もラジオ番組で相談コーナーを持っています。そんなことから、知らない人から悩みのメールで相談をたまにいただきます。それで「悩み相談」の返信をnoteに書きはじめたのがスタートでした。
文章への課金もnoteの特徴ですが、今のところすべて無料にしています。これは戦略というよりも、課金について忘れていた……というのが正直なところかもしれません(笑)。というより、悩んでいる人からお金をもらったらいけない気がしてました。
こんなふうに無計画に始めたnoteですが、「せっかく書いたから……」とTwitterで報告したら、意外と反響がありました。たまたま、著名人や以前出演したテレビ番組のスタッフが、タイムラインでnoteの記事にコメントしてくれたこともあります。
ただ、それにともなって、Twitterのフォロワーも増えたのは嬉しい副作用でした。
先ほど、「TwitterなどのSNSを連動させると面白い」と書きました。つまり、読者やユーザーの流入をひとつのチャンネルだけに頼るのではなく、組み合わせたことでより多くユーザーがアクセスしてくれた。そんなヒントを知るキッカケになりました。
ユーザーの気持ちに寄り添うSNSの必要性
ここからは、新しいSNSのあり方の話です。何かをスタートアップするときって、起業する側は「資金調達が早い」や「IPO(株式公開)やイグジット(投資回収)がやりやすい」など、つい考えてしまいがちかもしれません。
筆者もフリーランスなので、そのことは理解できます。ユーザーの立場であれば、「面白そう」「使いやすい」「ユーザーが集まりやすいか」でしょうか。
しかし、今の時代、必要なのは、発信者側の気持ちに寄り添い、SNSとユーザーの関係が長く続けられるような構造になっていること。noteを2ヵ月使い続け、そんなことを実感しました。そんな日本発の「やさしい家族みたい」なSNS、誰か作ってくれないかなぁ……。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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