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現場の活用事例満載だった「2021 LINE WORKS DAY」基調講演レポート

導入社数倍増のLINE WORKS 新バージョンでは音声・ビデオ通話も快適に

2021年02月19日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2021年2月18日、ワークスモバイルジャパンは年次イベント「2021 LINE WORKS DAY」をオンライン開催。「LINE WORKSが創造する真の現場ファースト」と題された基調講演では、登壇したワークスモバイルジャパン代表取締役社長の石黒豊氏がサービスの成長をアピール。また、プロダクトマーケティングの二人が、最新の3.0で追加された新機能や改善点について詳細に解説した。

LINE WORKSの成長をアピールする石黒豊社長

新宿区では9人に1人が使っているLINE WORKS

 オンラインイベントとなった今年の「2021 LINE WORKS DAY」。今回は「ヒーローはいつだって現場にいる」をテーマにLINE WORKSの最新動向を伝えるのみならず、ユーザー事例を深く掘り起し、共有するイベントになった。

 冒頭の基調講演に登壇したワークスモバイルジャパンの石黒豊社長は、調査会社の富士キメラとアイ・ティ・アールから有償ビジネスチャットNo.1の称号を得ていることを紹介し、導入社数が1年前に比べて倍となる20万社に達したことをアピールした。

 また、LINE WORKSの特徴であるLINEとの接続に関しても、もうすぐ600万を超えるという。国内のLINEユーザーはすでに8600万人を超えているため、実にLINEユーザーの12人に1人がLINE WORKSとつながっている計算。「みなさまが思っている以上に、LINE WORKSは身近なツールとして、お仕事の現場で使われている」と石黒氏は語る。

 石黒氏は、実績と数字を別の角度から考察する。たとえば、東京23区を調べてみると、新宿区の9人に1人、渋谷区の8人に1人がLINE WORKSを使っているという。大阪府大阪市では10人の1人、北海道の恵庭市では10人に1人、奈良県の生駒市では7人に1人、長崎県の北松浦郡では5人に1人がLINE WORKSユーザー。そして北海道の帯広市では、なんと4人に1人がLINE WORKSを使っているという。

 なぜここまでLINE WORKSのユーザーが増えているのか? 石黒氏は、「LINEとユーザーインターフェイスが同じなので、今までITツールを使ってこなかった中小企業、あるいは大企業でも店舗や現場にいる方々がお仕事に進めていただいている」と指摘する。

 緊急事態宣言以降、出社や出張、対面営業などが激減し、自宅でのテレワークが拡大した。これに対して石黒氏は、「実は同じ業界でも業績を上げている企業と残念ながら落としている企業がある。ライフサイクルやワークスタイルの変化に、ニーズを見いだし、アプローチをかけている企業が業績を維持・向上していると感じている」と指摘。そんな中、LINE WORKSは社内でのやりとりだけではなく、顧客とコミュニケーションをとるためのツールとして多くの現場で有効活用されているとのこと。「コロナ禍を生き残るための現場の武器」としてLINE WORKSを活用してもらいたいと石黒氏はアピールした。

新しいタスク機能やUI/UXの改善、Dropboxアプリがアドオンで追加

 続いて登壇したプロダクトマーケティングスペシャリストの田記由季子氏からは、2017年以来およそ4年ぶりとなる大型バージョンアップについての説明が行なわれた。

 今回のバージョンアップのテーマは、昨年来からTVCMでも訴求している「会社でも、現場でも、自宅でも、仕事が動く新しい働き方」。どんな環境からでも快適にコミュニケーションを行なえるよう、「離れていても臨場感が伝わる」「離れていても仕事がはかどる」「社外とのつながり強化」の3つのポイントで機能強化が図られた。

3つのポイントについて語るプロダクトマーケティングスペシャリスト 田記由季子氏

 1つめの「離れていても臨場感が伝わる」のポイントとしては、音声/ビデオ会議の強化が図られた。「LINE WORKSはWeb会議ツールを主軸としたサービスではないが、利用者が継続的に増えている昨今の動向を鑑み、少人数でのWeb会議に不自由のない機能を意識して改善を行なっています」と田記氏は語る。

 また、Web会議用の参加リンクを自動生成する「ミーティングリンク」の機能も追加。Web会議ごとにトークルームを作る必要がなくなり、カレンダーの予定にリンクを追加すればよいので、参加者の予定の調整も容易になった。

 2つめの「離れていても仕事がはかどる」はおもに業務の効率化につながる新機能となっている。まずはタスク機能が独立サービスとしてリニューアル。トーク画面の吹き出しを選択して、メモ感覚でタスクを登録できる。また、タスク一覧では自分が依頼されたタスクだけでなく、他のユーザーに依頼したタスクも一覧表示できる。

タスク機能が独立したサービスとしてリニューアル

 LINE WORKS全体のUI/UXも改良された。ビジュアル面ではアプリケーションのデザインを刷新し、コンテンツの読みやすさやアイコンの視認性を改善。カスタマイズ可能なアプリケーションのテーマカラーとして新たにホワイトを追加されたほか、プロフィールのサムネイル形状を円形にしたり、未登録の場合はユーザーのイニシャルが入るようになった。さらに同じメンバーのいるトークルームをワンタップで作成できるようになった。

 開発者向けのアップデートも行なわれ、新たに「Flexible Template」が新たに登場。これはメッセージ内に配置するコンポーネントをカスタマイズできるAPIで、ボットからよりリッチなメッセージを送信できる。

 さらに新しい連携タイプとして、トークからそのまま呼び出せる「アドオン」が追加された。今回はクラウドストレージサービスの「Dropboxアプリ」の提供が開始された。「2つのアプリをそれぞれ起動することなく、LINE WORKSのトーク画面からファイルの検索や共有が行なえるので便利に使っていただけます」と田記氏はアピール。DropboxアプリはLINE WORKSのアプリディレクトリに追加することができ、今後もさまざまなアプリの連携も増やされていくという。

顧客や取引先とつながりやすく アドレス帳や名刺OCR機能を強化

 3つめは「社外とのつながり強化」として、顧客や取引先など社外との連携を強化する機能について紹介された。

 まずアドレス帳の構造を変更し、外部の顧客や取引先の連絡先を社内の共有リソースとして統合管理できるようになった。従来、LINE WORKSでは外部の連絡先が共有アドレス帳とマイアドレスに分かれており、会社と個人で格納先がそれぞれ異なっていた。今回のアップデートでは、外部連絡先が統合され、メンバー個人が登録した連絡先も簡単に社内共有できる。公開範囲を特定のメンバーに限定したり、タグを付与することでカテゴリごとに分類することも可能だ。

 また、OCR機能で名刺のスキャンも可能になった。アドレス帳から2タップで登録画面に移行し、名刺をスキャンできる。日本語と英語の読み取りが可能になっている。

名刺のOCR機能でそのままアドレス帳に

 田記氏からは、外部とつながる方法についても紹介された。LINE WORKSでは「外部トーク連携」という機能を使うとLINE WORKSユーザー同士でつながることができる。LINE WORKS同氏でつながることで、日程調整など細かいやりとりがスピーディに行なえるほか、捕まりにくい相手も既読がわかったり、画像や動画のやりとりが容易になったり、カレンダーやフォルダ共有ができたり、音声・ビデオ会議も行なえる。

 LINE WORKSを使っていない社外のユーザーを招待する場合、招待する側はトーク画面から新規で「外部グループ」を作成。ここでトークやノート、予定、フォルダなどの利用可否を設定。外部グループを作成したら、あとはLINEメッセージやQRコード、招待リンクなどの方法で招待すればよい。

 招待された側は、LINEメッセージやQRコード、リンクなどからまずLINE WORKSのアプリをダウンロードし、自身の名前、SMSに認証番号を送信するとアカウントの作成が完了。名前、企業・団体名、携帯電話番号を登録し、携帯電話に届いたSMSの認証番号をアプリに入力すると、アカウントの作成が完了。すぐにトークに参加できる。「招待する側、される側、両者ともおおむね2ステップでつながる」と田記氏はアピールする。

 今回のアップデート以降、外部グループに招待した社外の人がLINE WORKSを使い始めると、招待した側には1件につき共有ストレージ容量0.5GB、最大5GBまで増量される。「この機会に社外の顧客や取引先ともLINE WORKSでつながる便利さとより緊密なコミュニケーションを体験できればと思います」と田記氏はアピールする。

音声・ビデオ通話のエンジンを刷新 高音質・高画質で安定したWeb会議を

 今回の目玉である音声・ビデオ通話の技術面の取り組みについては、プロダクトマーケティング部長の一柳圭吾氏が説明した。

 最新のLINE WORKSの3.0ではVoIPエンジンを刷新し、音声やビデオの伝送がより高い品質で安定して行えるようになったという。音声に関しては、従来はナローバンドからHDまでをカバーしていたが、iOS/Androidではスーパーワイドバンド(SWB)、PCでは人間の可聴域をほぼカバーするフルHDに対応。また、従来のエコーキャンセリング、ゲインコントロール、ノイズ除去に加え、新たにバックグラウンドのノイズリダクションを提言し、全体的な聞きやすさを低減している。「フルHDのボイスでより自然に声が聞こえるようになり、バックグラウンドノイズを消すことで、特に多人数の会話を聞きやすさが増している」と一柳氏は語る。

音質改善への取り組みを語るプロダクトマーケティング部長の一柳圭吾氏

 ビデオ通話に関しては解像度が大幅に改善。今までのPC・モバイルはVGA相当だったが、最新バージョンではモバイルでHD対応、PCでフルHDにまで対応する。また、フレームレートも15FPSから20FPSになり、よりなめらかな画質が利用できる。コーデックもiOSが対応しているH.264をサポート。iPhoneなどのiOSデバイスではハードウェアアクセラレーターを使えるため、よりスムースなビデオが利用可能になるという。「他社のプランだと、有償プランや特別な設定をしないとHD・フルHDを使えないことも多いが、LINE WORKSではフリープランでも高画質を体験してもらえる」と一柳氏はアピールする。

 とはいえ、高音質化・高画質化すると、流れるパケットのデータ量も気になる。その点、新バージョンではプロトコル自体も見直されており、全体のデータ量も最適化されているという。たとえば通話のセットアップで必要な通信も、従来のSIPからCassinaに変更したことで通信量を減らしたり、誤り補正機能によってネットワーク品質が下がっても、パケットロスが起こりにくくするといった仕組みも取り入れられている。実際に測ってみたところ、4Gでの音声は1分当たり144~216KB、ビデオ通話だと1分当たり16~22.7MB程度。「高音質・高画質を実現していることを考えると、非常に実用的なデータ量が抑えられていると思います」と一柳氏は語る。

 音声とビデオ通話に関しては使い勝手も向上。話者に枠が付けられたり、通話のオン・オフボタンもわかりやすく表示されるようになった。また、分割パターンも用意され、スマートフォンは1画面で最大6人で、入りきれないと別のページに表示される。タブレットは最大9人、PCは最大16人まで分割できるようになっている。その他、ビデオ通話前の確認画面やトークと音声・ビデオ通話の切り替え、他ユーザーの一斉ミュートも可能になった。

ビデオUXも向上。モバイルでは6分割される

 最後、一柳氏は「3.0ではエンジンの刷新によって、全体的なフルHD対応や音声品質の改善が実現し、高品質な音声・ビデオ通話に対応することができました。LINE WORKSはモバイル中心のサービスではありますが、PCも含めた対応により、簡易なWeb会議でもご利用いただける新しい品質を得たということをご理解いただけたと思います」とコメントした。

 なお、イベントはアーカイブ視聴が可能になっている。

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