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ダスキン草加が生々しく語るLINE WORKS導入のしくじりやLINEとつながるメリット

2020年11月05日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2020年9月24日、ワークスモバイルジャパンは「ダスキン草加に学ぶ!サービス業界のITツール導入の道のりと活用法 supported by ASCII」というオンライントークイベントを開催した。ダスキン草加から経営者や現場メンバーの3人が登壇し、LINE WORKS導入のしくじりポイントや運用のノウハウ、注目度の高いLINEとの連携について語り尽くした。

「LINEとつながるLINE WORKSがすごい」と猛プッシュ

 今回のトークライブで特徴的だったのはダスキン草加から3人が登壇するということ。経営の立場である代表取締役の田上誠児氏に加え、田上氏の軍師的な役割として総合支援室室長の寺門かおり氏、そして現場部門の統括として運営室メンバー 兼 お掃除部門マネジャーの森下友喜氏が登壇し、それぞれの立場からLINE WORKSを語るという珍しい構成になっている。

 ダスキン草加はハウスクリーニングや家事代行、害虫駆除などを手がけるダスキンのフランチャイズ加盟店で、草加市、八潮市、三郷市などの埼玉県南部で1万件以上の実績を持つ。昨年の10月から福祉用具の販売やレンタル、福祉向けの住宅改修もスタートし、事業を拡大させている。「エアコンのクリーニングやお庭の雑草処理やせん定などがあるので、1年の中で6月が一番忙しい。年末に向かってまた忙しくなります」と田上氏は語る。

 もともとダスキン草加では、LINEを使って仕事のやりとりをしていたが、運用に課題を感じていた。田上氏は、「業務内容をプライベートのLINEでバンバン送りあうのもどうかと思ったし、辞めた人には業務のやりとりを削除してとお願いしていたけれど、やっぱり不安だった」と語る。グーグルやChatworkなどいろいろなツールを試したが、なかなかしっくりこなかったという。

会社概要や導入前の課題について語るダスキン草加 代表取締役 田上誠児氏(左下)

 そんな中、総合支援室の寺門氏がLINE WORKSに目を付けたのは、法人向けのアプリながら使い勝手としてはLINEに近しいことに加え、「LINEユーザーとつながることもできる」という点だ。もともと寺門氏はInstagramのセミナーに参加するなど、顧客とのリレーションづくりにおいてSNSの活用を積極的に推進しており、その過程でLINE WORKSの存在を知った。「営業会社なので、SNSを通してうまく営業できないかと考えていた。一番使われていて通知も見逃されないLINEとやりとりできると知り、LINE WORKSはすごいなと注目した」(寺門氏)と語る。ビジネス版のLINEなので現場もすぐに使えると考え、導入を決めたという。

 寺門氏にLINE WORKSを猛プッシュされたという田上氏だが、「サービス業において、LINEを制するものは仕事を制する」と意見が一致。さっそく少人数で試用を開始したが、いきなりつまづいたのがアカウント登録の壁だった(関連記事:「アカウント登録の壁」でつまづいたダスキン草加がLINE WORKSになじむまで)。

 LINEの場合、アカウントは個人ごとに作るが、いわゆるグループウェアであるLINE WORKSの場合は、組織にメンバーを所属させる形でアカウントを作成する。しかし、ダスキン草加ではLINE感覚でそれぞれが個別にアカウントを作ってしまったため、「トーク」すら始まらない事態に陥ったのだ。ワークスモバイルジャパンの篠田麻実氏は、「LINE WORKSは会社単位で導入するというのが、LINEとの大きな違い。まずは代表者が利用団体(ダスキン草加)のワークスグループを開設し、そこに各メンバーを追加していくことで、トークルームやカレンダーなどを使えるようになります」と補足する。

 情報システム部門を持たない企業にとって理解の及ばないIT知識や常識はよくある。寺門氏も、はじめから魅力はわかったが、理解が及ばなかったため、社長と一緒に個別相談会に参加。「そこで抱えていた質問を全部ぶつけて、自分たちのイメージする運用のために必要な知識をいろいろ持ち帰れたことで、一気に進みました」と振り返る。

 田上氏は、「LINE WORKSは組織図に基づくアドレス帳の作成もできるとわかったので、あらかじめ所属部署なども設定した各従業員のアカウントを管理側で作り、IDと初期パスワードを知らせる形で全社展開しました」と語る。いったんログインできてしまえば、あとはLINEと使い勝手が変わらないため、まずはトークルームでのやりとりを重ねて、従業員に慣れてもらったという。

事業部をまたいで会社を見渡せるように

 LINE WORKS導入後はどうなったか? 田上氏は「スピードや共有感が全然違います。僕の考えが定まっていない、6~7割くらいの状態で送っても、メンバーからいい答えが来ます。なるほどそういう視点があったなという気づきがあって、意思決定の精度が上がりました」と語る。

ダスキン草加でのトークルーム活用の様子

 お掃除部門のマネジャーである森下氏は複数のトークルームに参加することで、会社全体が見渡せるようになったという。「私は現場ではお掃除のことだけやっていますが、ほかのトークルームに入ることで、他の事業部の忙しさや人の手配状況までわかるようになった」と語る。現地の作業が予想以上にかかってしまった場合にも、カレンダーを見て、応援を差し向けるといったことが可能になった。また、他事業部のキャンペーンも知ることができたため、お客さまにも勧めやすくなったという。

 LINE WORKSの場合、部署やタスクごとなど、用途にあわせて関連メンバーを入れたトークルームを作れる。ダスキン草加の場合、森下氏のようなグループリーダーやマネジャーは担当業務以外のトークルームも閲覧できるようにしているそうだ。「すべてをこまかくチェックすることはできないが、様子がわかるとコミュニケーションや業務改善のきっかけになる」と森下氏は語る。ちなみに複数のトークグループに所属していて通知が多い森下氏は、メンションしてもらうことで返信の緊急度をより分けているという。

森下氏(左下)は複数のトークグループを見ることで会社の全体を見渡せるというメリットを説明

 トークの次にチャレンジしたのはカレンダー機能だ。これまでダスキン草加ではGoogleカレンダーを使っていたが、毎回アカウントを切り替えて、他の事業部のカレンダーを見ていた。これをLINE WORKSに変えたことで、会社全体のスケジュールが見えるようになった。寺門氏は、「グループごとのスケジュールが分刻みで見えるので、社員やスタッフの管理ができて、使い勝手がよい」とカレンダーのメリットを語る。

 また、「ホーム」という掲示板機能を使って、お客さまの声を載せている。「お客さまからいただいたありがたい言葉を現場スタッフで共感できるようにしています。もちろん、厳しいお言葉をいただいたら、事業部挙げて改善に取り組みます。いずれにせよ、やる気も出るし、お客さまへのプラスアルファの提案をするのに役立っています」と森下氏は語る。「ホーム」には会社の向かっている方向性や今回のコロナ対応についても掲示されているので、メンバーの意思統一にも役立っているとのことだ。

掲示板で従業員の活動を共有している

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