テレワークとともに「たのめーる」が初めて前年割れ
大きな変化を受けたトレンドのひとつが、テレワークの増加だ。
2020年末までのテレワーク支援実績は約4万社、約43万人。2020年上期時点でのテレワーク支援実績は1万9000社、22万7000IDであったことに比べると、顧客数が倍増していることがわかる。
また、ウェブサービス(ASP)は、前年から32万9000人増加して、295万6000人が利用。たよれーるおよびOffice 365は64万人、どこでもキャビネットは22万人が利用しており、「これらのサービスは、テレワークの浸透とともに伸長している」という。
だが、テレワークの推進とともに、オフィスへの出社が減少したことで、オフィス用品通販サイトの「たのめーる」の売上高は、前年比1.9%減の1634億円と、通期業績では、初めて前年割れとなった。
とはいえ、第4四半期は5.3%増と反転。「成長路線に戻りつつある」と、回復に自信をみせる。
ちなみに、オフィス用品通販サイトは、アスクル、コクヨ、たのめーるが御三家と言われるが、アスクルとコクヨが、紙のカタログを廃止しており、たのめーるだけがそれを残す状況となった。大塚社長は、「購買担当者が、ページに付箋を貼って注文をするという使い方が定着している。紙のカタログにも価値がある。他社との差別化要因として今後も残していきたい」と述べた。
GIGAスクール構想がパソコン需要を一気に広げる
もうひとつが、児童生徒に1人1台のPC/タブレットを整備するGIGAスクール構想の影響だ。
先に触れたように、大塚商会の年間販売台数は、PCは14.1%減と2桁台の前年割れとなったが、GIGAスクールの導入が本格化した第4四半期は、前年同期比33.9%増の62万6991台と、大幅な成長をみせた。前年同期となる2019年度第4四半期(2019年10~12月)も、Windows 7のサポート終了を2020年1月に控えていたこともあり、前年同期比37.0%増の46万8271台と大幅な伸びを記録していたが、2020年度第4四半期は、それをさらに大きく上回る実績となったのだ。
大塚社長は、「第4四半期において、GIGAスクールによる教育分野向けパソコン需要が一気に伸びた」とし、半分となる約30万台がGIGAスクールによるものだという。
また、12月末時点で126億円の受注残があり、これが2021年度第1四半期(2021年1月~3月)の売上げに計上される予定だ。
GIGAスクール構想の1台4万5000円の補助金をもとに単純計算すると、28万台のパソコンが受注残となる計算だ。前年となる2020年度第1四半期のパソコン販売実績は、37万4780台。すでに、その75%がGIGAスクール構想で達成されていることになる。
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