本連載は、Adobe Acrobat DCを使いこなすための使い方やTIPSを紹介する。第129回は、入社承諾書へのサインをAcrobat DCで電子化する方法について紹介する。
新入社員には入社承諾書にサインしてもらう必要があるが、コロナ禍でペーパーレス化や電子契約が話題になっている昨今、紙の運用を続けるかどうかは悩みどころ。
この機会に、PDFに直接署名して、そのまま返送してもらうというのはいかがだろうか。今回は、Adobe Signの電子サイン機能で入社承諾書へのサインをペーパーレス化する方法を紹介しよう。
Acrobat DCをインストールすると、Wordの「ホーム」タブに「Adobe Acrobat」という項目が追加される。入社承諾書を作成したら、この項目の「署名を依頼」をクリックする。PDFが作成されるので、ファイル名と保存場所を指定。続けて、新入社員のメールアドレスを入力する。
件名や本文は変更できる。もし、ファイルにパスワードを付けたり、返事がない場合にリマインドを自動で行うなら、「詳細オプション」を開けばいい。
続けて、署名してもらう領域を指定する。任意の場所をクリックするとフォームが追加され、フローティングツールバーが現れる。そこからフィールドタイプを選べばいい。
例えば、今回は氏名の欄には署名、住所の欄にはテキストを入力してもらうようにする。日付欄は「Date」を選択し、自動的に入力されるようにしておく。
設定が完了したら「Send」をクリックして送信する。
新入社員に入社承諾書が届くので、「Review and Sign」をクリックする。ウェブ上でPDFが開き、黄色く表示されている入力部分をクリックする。住所部分はクリックして、普通にテキストを入力すればいい。
署名する場合は、署名部分をタップするとポップアップが開く。署名方法は4種類から選べる。「入力」では普通にキーボード入力できる。キー入力とはいえ、署名の記録はきちんと残るので法的な効果はある。それでも、手書きの方がいいというのであれば、「描画」でペン入力したり、「画像」で署名済みの画像を入力する。とは言え、タッチ対応PCではないかもしれないし、署名画像など用意している人はほとんどいないだろう。
そんな時は「モバイル」を利用しよう。手持ちのスマホを署名用デバイスとして利用できるのだ。
署名パネルで「モバイル」を選択し、電話番号を入力する。国を日本に変更するのも忘れないように。送信すると、スマホにSMSが届くので、記載されているURLをタップしよう。リンクの有効時間は5分間だけなのですぐに作業すること。もしリンクが切れてしまったら再送信すればいい。
リンクを開くとブラウザ上でサインページが表示される。スマホを横にして全画面表示し、指先で署名しよう。字が汚ければ「消去」をタップして、何度でもやり直せばいい。署名できたら「完了」をタップする。
PC側に手書きの署名が取り込まれるので、確認したら「適用」をタップする。これで、署名フォームに手書きの署名が記入される。完了したら、画面下の「クリックして署名」をクリックすれば返信される。
新入社員から入社承諾書のPDFがメール添付で戻ってくる。開いてみると、きちんと署名が入っていることを確認できる。「署名パネル」を開けば、改ざんされていないこともわかるので安心だ。あとは、このPDFファイルをきちんと保管しておけばいい。紙と違って保管場所を確保せずに済むのはありがたい。
以上が、新入社員に送る入社承諾書へのサインをAcrobat DCで電子化する方法となる。その気になればペーパーレス化は簡単にチャレンジできる。古くからの慣習だからと非効率なことをしていては、単に無駄になるだけでなく、情報感度の高い人材から呆れられてしまうかも。まずは、手書き&ハンコ文化から卒業してみるのはいかがだろうか。

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