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小特集・格安ロボット掃除機 第5回

ルンバと2〜3万円のロボット掃除機 違いは手のかからなさ

2021年02月05日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集● ASCII

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●ルンバはロボット界のiPhoneだ

 ルンバとの違いは、ずばり手間。ルンバは本当に手のかからない子で、使っていると掃除のことをさっぱり忘れることができます。

ルンバ上位機種「i7+」

 基本的なところでは吸引力の強さ。下位機種でも他社の上位機種と並ぶほどの吸引力を持ち、掃除結果に不満を感じることは少ないです。ゴミが多いところに反応するセンサーも備え、キレイになるまでしっかり掃除してくれます。

 次に、糸や毛がからみにくいゴム製のデュアルアクションブラシ。格安機だとブラシに糸がからんで止まってしまうことがありますが、それが少ないです。

 次に、2cmまでの段差乗り越え機能。格安機だと1〜1.5cmの段差でつまづきエラーで止まってしまうことがありますが、それが少ないです。

 次に、サイドブラシにコード類がからまったとき、逆回転させてコードをほどくからまり防止機能。格安機はコード類がからまると、やはりエラーで止まってしまうことがありますが、それが少ないです。これはわりと大きいです。

 ほかにもルンバは自動ゴミ収集機能をもった充電ドック「クリーンベース」、カメラセンサーでコード類などを見分けて進入禁止エリアを提案する機能など、ユーザーの手間を省くための機能を中心に採用してきました。現在はユーザーにあった掃除の仕方を提案する機能をアプリに追加していますが、これもやはりユーザーの手間を省くための工夫のひとつと言えそうです。

 ルンバを開発するアイロボットのコリン・アングルCEOはいつか発表会で、ルンバは最終的にユーザーから見えなくなってくれたほうがいいのだという趣旨の話をしていたことがありました。「顧客が本当に欲しいのはドリルでなく穴」の理屈で、ルンバにどんな良い機能がつくかより、ユーザーの暮らしがどんなに良くなるかを考えているのだと思います。

 中国系のロボット掃除機はいま、iPadのようなLiDARセンサーを備えて物体認識をしたり、カメラの映像をスマホで見られたりといった最新機能をドンドン備えています。それを比較的低価格で出してくるので、機能からすればかなりの割安感があります。ルンバの進化はそれに比べると地味でお高く見えますが、ユーザーに必要な機能だけを慎重に選んで実装している印象も受けます。

 逆に言うと、最新機能はあるものの、肝心の掃除はイマイチということがあるのが中国系ロボット掃除機。使いこなしに知識を求められることもあり「分かっている人向け」という印象も受けます。

 これはiPhoneとAndroidの関係にも似ています。よけいなことを考えず、快適に使いたいiPhone派ならルンバ。コスパの良い1台がほしい、または最新機能を楽しみたいAndroid派なら中国系のロボット掃除機という感覚です。もしかしたらアプリやファームウェアの更新頻度、品質管理などにも同じことが言えるかもしれません(ただ、ルンバは運転音が圧倒的にうるさいのですが……)。

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