請求周り、サポート、開発までクラスメソッドでいろいろ巻き取れる
オオタニ:さて、今後の戦略について聞かせてください。クラスメソッド入りすることで、どんなことができるのかを教えてください。
catnose:まず自分が苦手としているインフラ周りをクラスメソッドのチームといっしょにやることで、できることは拡がりそうです。私はとにかくユーザーに「ここで書いてみたい」と思わせるサービス開発に専念できそうです。
横田:まずはお金周りですね。うちは2000社近くのお取引させてもらっているので、請求や入金などを専門に手がける経理チームがあります。あとはユーザーサポート。初心者向けの質問からテクニカルな内容まで、今までcatnoseさん一人でやっていたことを、弊社のチームで巻き取れるかなと。
最後は開発チームですね。これは人数が多ければいいわけではなく、相性も重要ですし、スキルセットもある程度フルスタックなエンジニアが少数精鋭でやったほうがいいなと考えています。社内で声をかけたところ、十数名から手が挙がったので、その中からフルスタックかつフルタイムで動けるメンバーを絞り込んで、開発に貢献していきたいです。とにかくcatnoseさんが当初から描いていたサービスに近づけ、開発に専念できる体制を作っていくのが重要だと思っています。
オオタニ:とはいえ、早々のマネタイズは難しいですよね。
catnose:はい。マネタイズについてもやっていかなければならないのですが、まずはユーザー数を増やしたり、お金が循環する仕組みを作ることかなと。ただ、具体的になにかが見えているかと聞かれると、そういうわけでもないです。
横田:基本的にはDevelopers.IOと同じ思想で、イビサさんが言ってくれた近江商人的にやっていきたいです。広告をバンバン打つのではなく、「よいプラットフォームになれば、人とお金が集まってくる」という考え方ですね。
仮に広告を設置するとしても、アドネットワークではなくて、より関連性の強い純広告に近いモノを作ったり、よい記事が多く集まっているZennを応援したいスポンサーを集めるイメージです。企業の方がZennというプラットフォームを支援し、よい記事を書けば書くほど、書き手にも多少なりとも還元できたらいいですね。
オオタニ:クラスメソッド傘下になることで、ある意味「クラメソ臭」がついてしまうのではという懸念はあるのですが。
横田:Developers.IOはあくまでクラスメソッドの社員が執筆するため、ある意味閉じられたプラットフォームです。ゲストブロガーもいますが、信頼のおける数名だけ。セミナー告知もあるし、ビジネス系の記事もあります。でも、Zennにそれらを載せるつもりはなくて、あくまでコミュニティの中で運営されるプラットフォームだと思うし、両者を統合するといったこともありません。基本的には独立運営です。
最初はエゴイストでいい Zennはあくまでコミュニティベース
オオタニ:先ほど、「開発に専念できる体制を作る」と言ってましたが、クラスメソッド側としては、基本的にcatnoseさんを応援するという考え方で、サービスに深くコミットしていく感じではないのでしょうか?
横田:Zennに関しては、すでにある程度世間に認められているサービスなので、クラスメソッド側が当初から追加機能をリクエストするような筋のものではないと思っています。「クリエイターの活動を応援する」くらいなスタンスです。
catnose:でも、自分だけですべてを決めることがベストだとは思っていません。今まで作ったものでも、失敗したり、付けなきゃよかったかな?と思ったりするものがいくつかあります。開発の舵取りを最初は僕がやることになるかと思いますが、最終的にはチームとしての判断で、合理的な意見を採用する体制を作っていかなければいけないと思ってます。
オオタニ:ですって、横田さん。
横田:Zennって最初から良いものなんですよ。これって「起業あるある」なんですけど、合議制でやると、意思決定や開発のスピードは遅くなるし、結局は平均的でどこかで見たモノの集まりになってしまうんですよね。なので、最初はエゴイストでいいと思うんです。
最初の開発者の想いはとても大事なので、今はあくまでそれを支えるチームが重要。そのうちチームがだんだん主体性を帯び、カルチャーをシェアするようになって、彼がいなくてもチームの方向性がぶれないというのが理想ですね。
ビジネスモデルに関しても、自分たちが実現したい世界観を支える手段としての収益だと思うんです。だから、Developers.IOとZennが実現したい世界観はけっこう似ていると考えていて、そこに近づけるサポートができればいいなと思います。
オオタニ:今後のZennのチャレンジについてはいかがでしょうか?
横田:クオリティの維持ですね。Developers.IOをこれまで社外に開放しなかったのは、記事内容の間違いや誤字脱字を指摘したり、カルチャーに反するような書くべきではない内容を抑制するためでした。Zennは誰でも登録し執筆できるので、誰かの助けになる良質なコンテンツを執筆したくなる環境を継続的に提供できるのかが、これからのチャレンジだと思います。
さまざまな情報発信プラットフォームがいまだに解決し得ていない問題で、厳しいルールで縛るよりもカルチャーや仕組みで解決したいですね。どのように実現するかは社内外の人にいろいろ相談しながらやっていこうと思います。
catnose:クラスメソッドといっしょにやれば、そういった課題にもより積極的にチャレンジできるし、ユーザーにもっと喜んでもらえるサービスが作れると思っています。まだサービスとして未熟な部分はいっぱいあるので、時間をかけて育てていきたいです。