3Dデータを3Dプリンターで印刷するために、立体データを印刷面データとして複数にスライスするフリーアプリであるUltimaker Curaを専用サイトからダウンロード、パソコンにインストールする。プリンターの選択設定や、フィラメントの種別を入力する
ネット上にある既存データを活用して試運転
続いて、Selpic Star Aで印刷する3Dデータを用意する。実際には、自分の欲しい形状のモノを3D CADなどのアプリを使って作成し、そのデータを使うのが目標なのかもしれないが、筆者のような素人には3Dデータをゼロから作るのは困難なので、今回は、先人が作ってくれたネット上にある膨大な既存のデータを楽しく活用させて頂くことにした。
そんな価値ある3DデータをSelpic Star Aなどの3Dプリンターで、印刷できるように変換してくれるプログラムが一般的にスライサーと呼ばれるアプリで、Selpic Star Aの場合、前述の"Ultimaker Cura"というフリーソフトが推奨だ。本体付属のmicroSDカード内にもアプリが収納されていたが、今回は最新バージョンをウェブからダウンロードして導入した。
Curaを導入後、起動して、プリンターの追加でCustom FFFプリンターを選択、Selpic Star Aと名前を設定する。またノズルの設定で、使用するフィラメントの直径を今回の場合は付属するフィラメントに合わせて1.75mmにセットする。
3Dプリンター用のデータは商用利用は別にして、多くのフリーデータがネット上に存在する。今回、筆者が選んだのは有名な"Thingiverse"(シンギバース:デジタルものづくり情報サイト)だ。多くのカテゴリーの中から、素人考えで選んだのは、短時間で印刷できて、結果が判明するまでの動作時間の短い高さ(Z軸)の低い造形物だ。
十数分間、3Dサンプルデータいろいろ見た中で最初の作品に最適だと思えたのは、猫の耳の付いた指輪だった。ちょうど、付属品として付いてきたフィラメントの色も同じ白。加えて最初の作品がかわいいリングというのも、寝室を町工場のように変えてしまった責任の一端をカバーできる可能性がある。まさに同居人への初期対応としては決して悪くない選択だ。
パソコンで3DデータのSTLファイルをCuraに読み込み表示させてみた後、スライスしたデータ(G-Code)をmicroUSBカードに保存、Selpic Star Aのコントローラー側面のmicroSDスロットに入れて印刷準備は完了だ
早速データをダウンロード、ファイルはZIPファイルで内部には、3DデータのSTLファイルが5.5号〜10号までの10種類、完成イメージのわかるJPGファイル、ライセンス文書、READMEなど複数のファイルが収納されている。今回はパソコンで、STLファイルをCuraのスライス機能を使って、G-Codeテキストファイルに変換、アダプターに入れたmicroSDカードのルートディレクトリにコピー。目的のG-Codeの入ったmicroSDカードだけをSelpic Star Aのコントローラーの側面にあるmicroSDスロットに挿入。
あとはコントローラーの右矢印キーを押せば、データの転送が始まり、しばらくするとSelpic Star Aが動作し、あとは黙々とフィラメントを飲み込みながら立体オブジェクトを自動作成してくれる。
人生初のSelpic Star Aの3D印刷はきわめて安定しており何も問題なく進行
なんと!初めての印刷でこんなに上手くいくとは思っていなかったが、造形物をプラットフォーム上で安定して固定するための、造形物より大きな底面積の薄い層であるラフトの定着が良すぎて、自宅にあったどんな道具を使っても、どうやっても、でき上がったリングをプラットフォームから引きはがせなくなってしまった。
"困った時のネット頼み"でやっと解決の糸口を見つけたのは、ニトムズの"テープはがしカッター"。速攻でAmazonでオーダーして、翌日の到着まで3Dプリンター遊びは早々に中断となってしまった。
ネット上の評判を事前に見ていても、半信半疑だったニトムズのテープはがしカッターだが、その実力は遥かに期待以上だった。チョット剥がし方に無理とムラがあったために、残念ながらプラットホームの表面にも少し傷とへこみを作ってしまった。
プラットホーム上に直接印刷するのではなく、何か適当なモノを敷いて、その上に印刷するのが良い……ということをいまさら聞いても後の祭りだったが、ネットを調べてみたり、先人にSNS上で聞いたりしている内に、その"何か"がおぼろげながら分かってきた。

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