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こんな所までこだわるの!? GALLERIA(ガレリア)の品質向上の取り組みを徹底取材! 第1回

インタビューでわかったこだわりの電源選び、工場での品質管理もチェックしてきた

サードウェーブ綾瀬工場でGALLERIA(ガレリア)の電源品質へのこだわりに迫る!

2020年12月11日 11時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

提供: サードウェーブ

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BTOパソコンで採用している電源メーカーの基準は?
ワット数についても聞いてみた

 個々のパーツの品質について責任を担保するのがBTOパソコンメーカーである以上、そのパーツを選定するのもBTOパソコンメーカーの役割。信頼できるメーカーの、信頼できる製品を選べればいい……と口でいうのは簡単だが、では、何をもって信頼できると判断するのかが難しい。

 「電源の選び方は非常に難しい部分です。小容量電源が優れているメーカーもあれば、一般にはマイナーでもサーバー用の大容量電源では定番というメーカー、品質と価格のバランスに優れたメーカーもあります。それぞれ得意分野が違う上、同じメーカーの製品でもモデルによって品質が変わってくるので、単純にメーカー名だけで選ぶことができません」(石黒氏)

電源メーカーごとに得意とする分野が異なるため、「このメーカーならいい電源」と一概にはいえないという

 さらにこの問題を難しくしているのが、新世代のパーツが登場してきた時だ。電源の市場のうち、大容量のPC電源というのは需要がけっして大きいものではなく、ちょっとした仕様変更程度では新モデルは作られないという。しかし、BTOパソコンメーカーとしては、新しいパーツが出ればいち早く採用したいところ。とくに、CPUやビデオカードといった話題性の高いPCパーツとなれば、サンプルを入手し実際に動作検証の計画を立てながら、これらのパーツを安定して動かせる電源を選定していく必要がある。

 こういった新パーツを採用する場合に重要なのが、電源メーカーとの普段からの意見交換だという。

 「普段から電源メーカーさんと意見交換をしていると、「この仕様であればこのモデルを改良すればよさそう」といった目星はつけやすくなります。もちろん、電源メーカーさんは他社さんとの付き合いもありますから、色々な情報が入ってくるのもあるでしょう。こうした情報から仕様変更をし、柔軟に対応してくれるのは、やはり長い付き合いがあり、普段から意見交換している電源メーカーさんですね」(石黒氏)

 最近の例でいうと、インテルの第10世代Coreプロセッサー・ファミリーで大きく電源の要求仕様が変わっていたため、BTOパソコンに搭載している電源をすべて入れ替えたとのこと。こういった対応がすぐにできるというのも、電源メーカーと近い位置にいて、信頼関係があるからこそだ。その時々の価格だけで電源の仕入れ先を変えていたのでは、こうはいかないだろう。

 実際、GALLERIAのBTOパソコンでユーザーが選べる電源メーカーを聞いてみたところ、「CORSAIR」「Enhance」「Owltech」「Silverstone」「Seasonic」といった返答だった。有名メーカーばかりが選べるように見えるが、これはあくまで結果的なもの。

「GALLERIA XA7C-R37」のBTOメニュー例。標準電源以外にも、有名メーカーの電源が並んでいるのが確認できる

 普段から意見交換ができ、品質の高い電源を作ってくれるメーカーを探した結果、有名メーカーばかりになっていたというだけだろう。有名メーカーの有名メーカーたる所以、ともいえる。

 その中で、BTOパソコンの標準として採用しているのは「AcBel」「DELTA」というメーカーの電源。電源業界においてはOEMとしての実績評価は高く、実は大手PCメーカーで採用されていることも少なくない。

 電源でもう1つ気になるのが、ワット数。「電源容量が足りない」といわれることがある点だ。電源容量が足りなければ動作が不安定になるだけに見逃せないので質問してみたのだが、これは明確に「足りなくなることはない」と断言していた。

 「新しいBTOパソコンのモデルを作る際、BTOオプションで最大までパーツを追加しても余裕で動作する容量となるようにしています。この計算には細かい計算式を使うのですが、簡略化したものがサイトで公開している「電源容量計算」です。これは誰でも利用できますので、PCを自作する際などに電源容量で困ったときにもご利用いただければと思います」(石黒氏)

電源容量計算を簡易的に行なえる計算機。どのくらいの容量が必要なのか悩んだら、これで計算できる

 GALLERIAの特長の1つは、CPUやビデオカードをベースにモデルが作られている事。そのため、低容量電源を搭載した廉価モデルのBTOメニューにはハイエンドビデオカードはなく、電源容量が足りなくなることがないわけだ。

 足りなくなるとすれば、あとから自分でCPUやビデオカードを換装した場合となる。これを「電源容量が足りない」というのは、「そりゃそうだろう」以外の言葉がない。換装するのであれば、同時に電源も交換するとか、そもそもの購入時にBTOで大容量電源を選ぶ、といったことをするべきだろう。

「GALLERIA RM5R-G50」の例。モデルによってCPUとビデオカードが決まっているため、BTOで変更はできない。ほかのビデオカードを使いたい場合はBTOでのカスタマイズではなく、モデルの変更となる

 電源品質の話に少し戻るが、「80Plus Bronzeだから低品質な電源を使っている」という意見があるという。

 “80Plus”はどのくらいの電源効率なのかを表す認証規格で、Standard、Bronze、Silver、Gold、Platinum、Titaniumの6つの段階がある。それぞれ負荷が20%、50%、100%のときの電源効率の数値が定められており(Titaniumのみ、10%時の負荷もある)、この効率が高いほど上のランクとなるものだ。

「80Plus」といっても多くの種類がある。最初に登場した効率80%のStandardは今となっては効率が低い部類となるため、実質、Bronze以上から選ぶことになる

 例えばBronzeなら、20%負荷で82%、50%負荷で85%、100%負荷で82%となっている。これがGoldになると、20%負荷で87%、50%負荷で90%、100%負荷で87%となるので、5%ほど改善されている証拠となる。

 ただし、あくまで評価対象となっているのは変換効率だけ。ひどい話、電圧が揺れようが、ノイズが乗ろうが、騒音が大きかろうが、コイル鳴きが起ころうが関係なし。いくら効率が高くても、品質の低い電源であれば動作が不安定になってしまう危険すらある。

 もちろん、効率を高くするにはいい部品を使う必要があり、結果的に高品質な製品が多くなっているというのは事実だ。だからといって、ランクの低いもの、80Plus Bronze電源の品質が低いという話にはならない。このあたりを混同して考えてしまわないよう注意したい。

 ちなみに、電源効率が高いと何がいいのかといえば、発熱が減ることと、消費電力が下がる事の大きく2点。ただし、これを気にするのは消費電力の大きいハイエンド構成の場合だけでいい。

 例えばゲーム中の消費電力が500Wを超える場合であれば、80Plus Bronzeと80Plus Goldの差は5%となるので、25Wもの差が出てしまう。しかし、ミドルやエントリークラスで200W程度しか使われないとすれば、その差は10Wまで小さくなる。また、どちらの場合でも、オフィスソフトやブラウザーの使用、動画サイトの視聴などであれば100Wもいかないため、その差はたった5Wにまで縮まってしまう。

 1日8時間、約30日使い続けた場合の電気料金を計算してみると、25Wでは約183.4円(1kWhあたり30.57円で計算)、10Wだと約73.4円、5Wだと約36.7円にしかならない。

 BronzeをGoldへと変更すれば確かに電気料金は下がるものの、月額でこのくらいの差しかないのに、5000円~1万円近く価格が高くなる80Plus Goldの電源を選ぶというのは、コスパ的においしくない。

 この点GALLERIAはよく考えられており、「GALLERIA RM5C-G50」(Core i5-10400F+GeForce GTX 1650)というエントリークラスのゲーミングパソコンでは電源が「550W 静音電源 (80PLUS BRONZE)」となっているものの、最強クラスの「GALLERIA ZA9C-R38」(Core i9-10850K+GeForce RTX 3080)では「750W 静音電源 (80PLUS GOLD)」を搭載していた。消費電力が大きくなるモデルにはしっかりと80Plus Goldの電源が採用されているあたり、よく考えられた構成だといえるだろう。

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