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業界人の《ことば》から 第413回

日立製作所の東原敏昭社長兼CEO

世界には制約があり、限りがある、大量生産/大量消費時代で社会を持続させるには?

2020年11月09日 13時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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同じ価格で売られている、一切れのパンの価値は?

 「生活者におけるQoLの最大化」という観点では、生活者にとっての価値という点から、ユニークなたとえ話をしてみせた。

 ここで、東原社長兼CEOが示したのは、一切れのパンだ。
一切れのパンには、「価格」という換算できる価値があるが、人間のQoLという観点からみれば、価値はタイミングと場所で変化するという。

 「おなかが空いたときに食べるパンと、ラーメンを食べて、おなかがいっぱいになったあとに見るパンでは、その価値はまったく異なる。また、景色の良いところで食べるパンは、さらに格別の価値がある。同じ商品やサービスでも、その価値は、タイミングや場所、時代や地域によって異なる。この価値を環境も考慮しながら、最大化することを社会イノベーションによって実現する」

 社会イノベーションが実装されたスマートシティは、様々なデータやシステムがつながり、無数の仕掛けが動くことで、最小限の資源で、最大限のQoLが実現することになるという。

 「一杯のコーヒーをいつ飲むか、その喜びは変わる。同じ食事でも、どんな思いで作られたのかを知るだけで、豊かな時間になる」

 それが、制約ある環境や、限りある資源のなかで実現することができる「生活者におけるQoLの最大化」というわけだ。そして、こうした取り組みは、まずは小さな地域からはじまり、それが地域と地域を結ぶことで広がりをみせ、世界中に広がっていくことになるという。それがすでにスタートしていることを示してみせる。

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