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業界人の《ことば》から 第413回

日立製作所の東原敏昭社長兼CEO

世界には制約があり、限りがある、大量生産/大量消費時代で社会を持続させるには?

2020年11月09日 13時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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小さなイノベーションと、つながりが価値を生み出すイノベーション

 だが、ここでもうひとつの疑問を提示してみせた。

「この小さなイノベーションは、社会を変えるような大きなイノベーションの一歩になるのだろうか」

 ここで示したのが、「イノベーション」と「社会イノベーション」の違いだ。

 これまでのイノベーションは、掃除をするためにほうきという道具が生まれ、それが、電気掃除機になり、ロボット掃除機になったように、道具が生まれ、それを便利にすることで進化してきたと定義する。それに対して、社会イノベーションは、道具が進化するだけではなく、道具と道具、システムとシステムが結びつき、新たな価値を生み出すことを指すものだ。

 「社会イノベーションは、つながりが価値を生み出すイノベーションである。つながることで、『生活者におけるQoLの最大化』と、『企業におけるKPIの最適化』を『制約ある環境、限りある資源』のなかで実現することができる」とする。

 一例としてあげたのが、製造業での取り組みだ。工場のなかの自動化は進むものの、各工場が連携できていないのが現状だ。工場そのものも効率化はできるが。多くの在庫を抱えたり、需要変動に追随できなかったりという課題が全世界で起こっている。だが、工場同士が有機的に連携することができれば、これらがひとつの工場のように機能し、大ヒット商品が生まれても、すぐに生産でき、在庫を抱えることもなく出荷ができ、環境負荷も最小限に抑えることができる。

 東原社長兼CEOは、「これがつながることよる価値創造だ」と強調する。

 すでに、日立とダイキンが、世界5ヵ所の製造拠点、9ヵ所の販売拠点をつなぎ、数100品目のフッ素化学品を対象に運用を開始。約60種類の製造、販売パターンを作成して、決定までに要する時間を約95%削減したという。

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