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業界人の《ことば》から 第412回

デジタル敗戦の日本で、デジタル改革は進むか? IT担当大臣の平井卓也氏のことば

2020年10月30日 14時30分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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 平井大臣は、これまで国が構築してきたシステムは、ユーザビリティや使い勝手の良さは最後の最後に考えてきたと指摘する。

 「間違いなくシステムが運用できること、間違いが起きないこと、情報が管理できるといったように、情報を提供する側にとって安定性があるシステムを目指していた。その発想を根本的に変える必要がある。これまでにもヒューマンセントリックという言い方をしてきたが、本気度が足りなかった。国民から見たときに、必要な手続きというのは、どの省庁の管轄であるということは関係がない。これからのシステムの作り方は、いままでの発想を180度変え、国民との接点のところからデザインをしていくという考え方にしなくてはいけない。そして、UIやUXの改善には、日本の若い人たちの力をどんどん借りていきたい。

 そして、こうも語る。

 「中国流のデジタル化や、米国のようなGAFA主導型のデジタル化は、日本には馴染まない。それは、目指す社会像が少し違うからだ。プライバシーに最大限配慮しながら、データを活用し、人間を大切にするデジタル社会をどうやって作っていくかということに挑戦すべきである。そのモデルは、高齢化社会を迎える世界の国々にとっても、目指すべきものになりうる。欧米、中国とは違う日本流のデジタル化社会に挑戦することは大きな意味がある」

 日本ならではのデジタル化を目指すのが、現在、策定されているIT基本法の抜本的改正の基本姿勢であり、それを実行するのがデジタル庁の役割ということになる。

 「教育、医療、防災はデジタル化において、重要な分野である。これ以外にも、デジタル庁が発足する前にできるものは、はっきりさせるといった動きに取り組んでいる。政治家が腹をくくって、言い切って行うことが大切である。その取り組みのひとつが、2+1である。事務方は困る場合もあるが、ボトムアップでは進まない。『いましかできない』(It's now or never)と、デジタル庁創設に向けたデジタル改革関連法案ワーキンググループの座長を務める慶應義塾大学の村井純教授が呟いたが、まさにその通りである。いまこそ、デジタル庁が、時代の閉塞感を打ち破ることができると考えている」とする。

 なお、2+1とは、平井大臣と、行政改革担当大臣である河野太郎氏の2人が、各省庁の大臣と、デジタル化や行政改革に関して話し合いを行う場であり、デジタル化と行政改革の実行に向けた取り組みに位置づけられいる。

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