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統合バックアップ基盤にVeeamを採用した近鉄グループもゲスト出席

Veeam、Kasten買収によるKubernetes保護統合など事業戦略を説明

2020年10月30日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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近鉄グループ:サイロ化したバックアップをVeeamで統合、DX加速へ

 ゲスト登壇した近鉄情報システムの上種義之氏は、近鉄(近畿日本鉄道)グループの統合バックアップ基盤としてVeeam製品導入を導入した背景と、導入後の効果、今後の取り組みなどを紹介した。

ゲスト登壇した近鉄情報システム 技術管理部 技術管理部長の上種義之氏。「われわれは決して先進的な会社ではないが、そんな会社でもVeeamを導入できた」と語った

 近鉄グループにおいても、コロナ禍をきっかけとしてDXに向けた取り組みを加速することが求められている。そこで現在は、タブレット端末とIDaaS環境の導入、システムのクラウド移行で社内外のシームレスなアクセス環境整備を図る「クラウド・モバイルの本格導入」、ローコード開発基盤の整備による開発の高効率化を目指す「DX化に向けた開発力強化」、データ人材育成やクラウド上のデータ管理基盤(DMP)整備を行う「本格的データ活用に向けた環境整備」の3点を、具体的な活動方針に掲げている。

 「リアルの世界でスマホやタブレット、IoT/センサーデバイスから生成されるデータは、すべてクラウドに送る。このクラウド上にあるDMPで、蓄積/加工/可視化/分析/予測といったデータ処理をすべて行う。データに基づく仮説検証を行ったうえで、APIとローコード開発基盤を使ってアプリケーションを開発する。こうした一連のサイクルを回せる世界を実現しようとチャレンジしている段階だ」(上種氏)

 この取り組みを進めていくなかで、大量に蓄積されるデータの管理が課題となった。これまで同社では、構築するシステムごとにバックアップソリューションを導入するようなかたちをとっており、サイロ化した複数のバックアップソリューションが併存していた。そのため設計や設定、オペレーションが複雑であり、データ保全にかかる運営コストや手間が増大していた。

 こうしたバックアップソリューションを統合すること、今後さらにシステムのクラウド移行を進めていく方向性であることをふまえ、仮想化環境のバックアップに強みを持つVeeamのソリューションを採用することに決めたという。導入後の感想として、上種氏は次のように評価を語った。

 「まずPOCの段階で、自前で(バックアップシステムが)構築できた。本格導入の際にはベンダーの技術支援を受けたが、基本的には構築しやすい。また無料ハンズオンセミナーが充実しており、ここでかなりのスキルが習得できるため、今のところ要員育成はこのセミナーでまかなえている。あと、操作が直感的でわかりやすいため、たとえば『PCのデータを消してしまったので戻してほしい』といった社内の問い合わせには、エンジニアではなくコールセンターのヘルプデスクスタッフだけで対処できるようになった」(上種氏)

 今後の取り組みとして、まずは機器やサーバーのログデータをクラウド上のDMPで一元管理し、ログ分析や自動化ができる環境の構築を開始したという。またDRを考え、AWSのリージョン間でのデータバックアップに対する評価も進めている。こうしたデータの保護や機能強化にVeeamの活用を進める方針であることを紹介した。

APJ地域におけるVeeam製品の導入顧客例

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 なお、VeeamON TOUR JAPANは同日開催されたが、引き続き12月18日まで全セッションのオンデマンド配信が行われている。上述した近鉄情報システムの詳しい事例紹介セッションも用意されている。

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