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ヴィームのイベントにFRONTEOが登壇、HCIやストレージ専用機など多様な環境での活用手法を語る

リーガルテックAI企業はなぜVeeamのバックアップ製品を選んだか

大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 バックアップ/データ保護ソリューションベンダーのヴィーム・ソフトウェアが2019年9月12日に開催したプライベートカンファレンス「VeeamON FORUM Tokyo 2019」。同イベントでは、「Veeam Backup and Replication Enterprise Plus」の導入顧客として“リーガルテックAI”企業のFRONTEO(フロンテオ)が登壇し、データ保護が欠かせない同社ビジネスにおけるVeeam製品導入の経緯、実環境における導入設計のポイント、導入後に得られた価値などを説明した。

「VeeamON FORUM Tokyo 2019」で登壇した、FRONTEO クライアントテクノロジー部 シニア テクニカル エキスパートの松山渉氏

「eディスカバリ」「フォレンジック」のためにデータを預かる

 FRONTEOは、日本のほか韓国、台湾、米国にも現地法人を展開するリーガルテックAI企業だ。主に米国の訴訟対応におけるeディスカバリ(電子情報開示)やフォレンジック調査(デジタル鑑識)のワンストップサービス/ソリューション、およびそのトレーニングを、顧客であるグローバル企業や政府機関などに提供する。

 FRONTEOでは、顧客組織が保有する膨大な電子ドキュメントからの証拠収集/特定や不正発見を可能にする、自然言語処理をベースとした独自のAIエンジン「KIBIT」を開発している。これにより、英語のみならず日本語、中国語、韓国語などの多言語を含むドキュメントを正確に処理することができる。さらに現在では、ここで培ったAI技術を基に、ビジネスインテリジェンスやヘルスケアなど他分野への事業展開も進めている。

eディスカバリ、フォレンジック事業におけるFRONTEOの実績

 今回登壇した松山氏は、インフラエンジニアとして、こうしたITインフラの運用に加えて、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)やSDS(Software-Defined Storage)、SDN(Software-Defined Network)などのソリューション選定と基盤設計も行っている。

 基幹ビジネスのひとつであるeディスカバリのシステムでは、訴訟に関連する顧客の業務文書やメールなど膨大な量のデータをFRONTEOが預かり、訴訟支援のために検索しやすいかたちに整えたうえで保管することになる。ITインフラは国ごとに構築されているが、日本国内だけで仮想化ホスト(物理サーバー)はおよそ60台、1500~1600の仮想マシン(VM)が稼働しており、扱うデータはおよそ1ペタバイトに及ぶ規模だという。

シンプルで高性能、統合運用が可能なバックアップ製品を探しVeeamへ

 FRONTEOでは2017年4月の台湾を皮切りに、日本、韓国のシステム環境においてVeeamのバックアップソリューションを導入している。導入のきっかけは、これまで運用してきたバックアップ環境のリプレースだったという。

 Veeam導入以前、FRONTEOではバックアップ専用ソフトウェアを導入していなかった。その代わりに仮想化基盤が備えるVMのクローン機能や、ストレージ製品が備える機能を使うなどしてデータを保護していたという。しかし、複数のバックアップ手法が混在することでその設定は複雑なものとなり、ストレージ専門エンジニアがほぼ張りついて作業しなければならない状況だったという。さらにバックアップ処理そのものにも時間がかかっていたほか、バックアップポリシーの一貫性やコストの最適化といった課題も抱えていた。

 「バックアップのプロダクトがたくさんあり、正常にバックアップできているかどうかの状態確認がほぼ不可能。どこにバックアップされているのか突き合わせてみないとわからなかったり、反対に複数のストレージ間でバックアップデータが重複していたりと、作業負荷が高く効率が悪い状態だったので、バックアップ環境の統合が必要だった」(松山氏)

 既存バックアップ環境の課題を解消すべく、松山氏は「シンプルで高スループット、統合運用可能なバックアップソリューション」を求めて、複数のバックアップソフトウェアを検討していった。具体的には、HCI環境(=VMware vSANの分散クラスタ環境)でもストレージ専用機と遜色ないバックアップ処理性能を実現する「パフォーマンス」、シンプル化によって専任担当者を不要にし、バックアップデータも一箇所に集約できる「オペレーションの統合」、さらにバックアップしたVMを即座に起動できるインスタントリストア、初回フルバックアップの大容量データをオフラインで移送できるシーディングなどの要件があった。

 PoCも実施したうえで、こうした細かな要件をすべて満たすものとして採用されたのがVeeamのソリューションだったという。操作がシンプルであること、個別機能に追加ライセンスが必要ないこともVeeam製品の魅力だった、と松山氏は述べている。

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