既存製品の改良はAdobe Senseiによる自動化が目立つ
続いて、既存製品のアップデートについてチェックしていこう。完全に新登場となる製品は上記の3つだけだが、もちろん既存のAdobe Creative Cloud関連製品にも、多くのアップデートが提供されているからだ。特に今回は、昨年からの流れを維持し、Adobe Senseiを利用した作業の自動化機能に目を引いた。以下、製品ごとのアップデートを列挙していこう。
●Photoshop
画像編集ソフトの定番Photoshopでは、新たに「ニューラルフィルタ」というワークスペースが追加された。単純なスライダの操作によって、顔の表情を変えたり、被写体の年齢を調整するような調整が容易に行えるようになった。また、「Photoshop Camera」のように空を一瞬で置き換える操作も追加されており、より作業負荷を低減する方向性が目立った。
【Photoshop バージョン22の主な新機能】
・ニューラルフィルタ
・空を置き換え
・アプリで直接詳細を学習する
・機能強化されたクラウドドキュメント
・パターンプレビュー
また、Photoshop iPad版では、作品の制作過程をライブストリームで公開できる機能が追加された。出力に合わせて画像サイズや解像度を変更できる機能が追加されたこともトピックだ。
【Photoshop iPad版 バージョン2の主な新機能】
・作品をライブストリームで公開
・検索ギャラリー
・画像サイズの編集
●LightroomとLightroom Classic
写真のデジタル現像に欠かせないLightroomでは、カラーグレーディングコントロール機能が強化された。ハイライト、シャドー、ミッドトーンでそれぞれカラーグレーディングを調整できる。また、アプリ内のチュートリアルが拡充され、「見つける」画面のフィードでお気に入りのフォトグラファーをフォローしてテクニックを学べる機能も追加される。
【Lightroom バージョン4.0の主な新機能】
・カラーグレーディングによるシャドウ、中間調、ハイライトのコントロール
・グラフィック透かしを写真に追加
・パーソナライズされた Lightroom フィードの検索とインスピレーションに富んだ写真家のフォロー
・Lightroom でベストショットを自動的に選択
・新しいカメラとレンズのサポート
なお、Lightroom Classicでもカラーグレーディングツールが追加されている。
【Lightroom Classic バージョン10.0の主な新機能】
・シャドウ、中間調、ハイライトを補正する新しいコントロールを備えたカラーグレーディング
・さらなるパフォーマンス向上による編集の高速化
・Canon テザー撮影ライブビューで仕上がりをリアルタイムで確認しながら撮影
・強化された新しいズームで、簡単なスキャン、フォーカス、移動が可能に
・新しいカメラとレンズのサポート
・カタログのアップグレード時にきめ細かなコントロールが可能に
●Photoshop Camera
昨年モバイル向けアプリとして登場したPhotoshop Cameraでは、タイマー機能などを新たにサポート。デバイスの深度センサーを活用したエフェクトも使えるようになる。
【Photoshop Camera バージョン2.0の主な新機能】
・ポートレートモードの向上
・カメラに欠かせないユーティリティ
・新しいレンズ効果
・より多くの言語とデバイスをサポート
●InDesign
DTP分野で使われているInDesignでは、レビュー用の共有機能が進化。閲覧者がWeb経由でレビューをできるようになる。また、対象を認識したテキストの回り込みに対応し、自動的にテキストを対象の周りに回り込ませられるようになることも大きな変化だろう。
【InDesign バージョン16の主な新機能】
・テキスト注釈を使用したシームレスなコンテンツレビュー
・ドキュメント内のカラーの検索
・インテリジェントな対象の検出とテキストの折り返し
・RGB 変換せずに HSB 値を使用
・安定性とパフォーマンス
・破損したドキュメントを検出して復元
・メディアパネルでのナビゲーションポイントの使用
●Illustrator
iPad版が目を引くIllustratorだが、デスクトップ版も進化している。たとえば、画像やカラーパレットからカラーを自動的に抽出してデザインに適用できる機能は興味深い。
【Illustrator バージョン25の主な新機能】
・オブジェクトを再配色
・クラウドドキュメントの強化機能
・スマートグリフのスナップ
・強化された文字