混沌とした状況になってしまった、高音質Bluetoothコーデック
LC3の標準化については、より核心的な話題となる。
これまではBluetoothの音質が良くなかったため、SBC(標準コーデック)の限界を打破するため、ベンダーごとに独自の工夫をしていたという。これは例えば、aptXやLDACなどを指すと思われる。このために規格がばらけてしまい、例えば機器によってaptXが使えたり使えなかったりという状況を生み出すことになった。
Schnell氏は「LE Audioでは優れたLC3を採用することで、そうした非標準的な混沌の状況が統一され、また標準化された状態に戻ってくるのではないか」と述べている。
最後にLC3をサポートする製品のリリース予測だが、Schnell氏は「たくさんの企業がLC3を実装する作業中なのを知っており、そうした機材が登場する時期については来年になるだろう」と期待感をこめて語っている。
結局のところLE Audioの一番のポイントは、それが標準であるということだ。
だが、Bluetoothのオーディオ規格は長らく放って置かれた感があった。その間にaptXなどの独自コーデックが、非標準ではありながら、高音質・低遅延コーデックのデファクトスタンダードに近い現状を作り上げてしまったのは事実だ。
また、LE Audioのもう一つの特徴である完全ワイヤレスイヤホンの左右同時伝送についても、すでにAirohaの「MCSync」方式やQualcommの「TrueWireless Stereo Plus」「TrueWireless Mirroring」といった方式が発表されており、市場に浸透しつつある。
そうした中でBluetooth SIGの提案するLE Audioが、どれだけまたこの世界に標準化を取り戻せるかが注目点となるだろう。
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