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JAWS版24時間TVはやっぱり真夜中も見逃せなかった!

24時間開催の「JAWS SONIC 2020&MIDNIGHT JAWS 2020」を楽しむ(シゲモリ編)

2020年09月15日 10時00分更新

文● 重森大 編集●大谷イビサ

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 2020年9月12・13日の2日間、JAWS-UGのオンラインイベント「JAWS SONIC 2020&MIDNIGHT JAWS 2020」が開催された。66ものセッションが24時間ぶっ通しで行なわれたまさにクレイジーなイベントの模様を、アスキー編集部のオオタニとライターのシゲモリがお伝えする。前日のオオタニ編に引き続き、本日はシゲモリ編をお送りする。24時間分だから長いよ。

全66セッション、開始から終了まで24時間の壮大なイベントがスタート

「頭わるいタイムテーブル組んだので見てください!」

 実行委員である吉江 瞬さんからそんなメッセージが飛んで来たのは、8月初旬のことだった。貼り付けられているリンクを開いて、筆者は頭を抱えた。な…に…こ…れ…。夕方に始まってオールナイト営業、そのままDAY2になだれ込んで夜までセッションが並んでいる。え、これを取材するの? 正直、オンラインイベントに食傷気味だった。テレビを観ているような距離感が、どうにもなじまなかった。そんなことをFacebookでぼやいたからバチが当たったのだろうか。

 なにはともあれ始まってしまったJAWS SONIC 2020&MIDNIGHT JAWS 2020。最初のセッションから聴講を始めた。いきなり全力で臨んでも、気力も体力も持たないことは目に見えている。気になるセッションをピックアップして、それ以外は流し見する姿勢。どこまで起きていられるのだろうか。

 最初に筆者の興味を引いたのは、AWSジャパンでコミュニティプログラムマネージャーを務める沼口 繁さんの「AWSコミュニティマネージャーから見たJAWS-UGとは」というセッション。序盤は沼口さんのこれまでの経験談だったが、インターネット以前の話から始まり、1988年からネットワーカーやっている筆者には懐かしい話題満載。深堀すると長くなるので割愛しちゃいますけど。

 メインとなった話題は、JAWS-UGが他のコミュニティとちょっと違うところ。1つ目は「知見共有主義」。「こんなことがわからないんだけど」と聞きに来る人が多いコミュニティではなく、あくまで相互に知見を共有する場だという。JAWS-UGの特徴の2つめは、「アウトプット文化」。アウトプットを重視するといっても、全員に登壇を求めるということではない。勉強会に参加したとTwitterに書いたり、ブログを書いたりすることもアウトプットのひとつ。こうした文化はユーザーにメリットがあるのはもちろん、ベンダーにもメリットがあると沼口さんは言う。

「巡り巡ってAWSが多く使われるようになります。まさにコミュニティによるマーケティングです。コミュニティをサポートする理由を社内で説明しやすいというメリットもあります」(沼口さん)

 3つめの特徴は「疎結合組織」。コントロールしやすい、横断しやすい、参加しやすいコミュニティであること。JAWS-UGは全国に支部があり、ネットワークでゆるくつながっている。モノリシックで大きな組織になると運営の負担も大きくなり、ここまで広がらなかったかもしれない。

 最後は「感謝!」と大書きされたスライドでセッションを締めた。

JAWS SONICのコンセプトとデザインはこうやって生まれた

 続いて筆者の興味を引いたのは、「”JAWS SONIC 2020 & MIDNIGHT JAWS 2020”と"デザイン"」という実行委員会のセッション。どのようにデザインを考えたのかという、AWSのテクノロジーとはかけ離れた内容。デザインのベースになったのは、JAWS、24h、SONIC、MIDNIGHTという4つのキーワードだけ。β版デザインから貫かれたコンセプトは「チャラい」「パリピっぽい」だそうで。あんな格好いいキーアートが、そんなコンセプトで作られていたのかと驚き。

 Tシャツデザインの成り立ちも紹介された。吉江さんのラフ図案と、そこから出てきたデザイン案の差に思わず笑ってしまった筆者。Tシャツに関してのパワーワードはこちら。

「タイダイ染のTシャツ着たスピーカーが喋ってるオンラインイベント面白くない?」(Eshimaさん)

 面白いというか、フェス感あってサイコー!

吉江さんがタブレットで書いた素案

素案を元に起こされたデザイン案。デザイナーってやっぱりすごい

 このセッションが終わったところで、筆者は夕食タイム。献立は妻が作ってくれたうどん。この夕食に限らないが、JAWS SONIC 2020ではどこで休憩を取るべきかという悩みがつきまとう。時間が長すぎるよこのイベント。

古典的CLIの話題があるかと思えば未来感満載のAIアナウンサー動画も登場

 夕食を終えてPCの前に戻ると、JAWS-UG CLI専門支部 波田野 裕一さんがGUIをCLIの違いについて「長く使えるAWSスキルを効率良く身に付けよう」というセッションで語っていた。

 GUIは短期的な学習コストは低いものの、なんとなくで使えてしまうので論理的なコンピューティングができていない恐れがある。これは筆者も身に覚えがある。ハンズオンでAWSを使う際にマネジメントコンソールから色々操作すると簡単にできてその場では分かった気になるのだけど、あとで振り返るとあまりよく覚えていなかったりする。しかも、AWSのGUI画面は頻繁に更新される。

「作業手順書を作って本番運用始めようと思ったらGUIが変わってしまい、画面キャプチャの撮り直しからやらなければならない、なんてことも起こり得ます」(波田野さん)

 そんな波田野さんの言葉には、聴講者が「あるある!」とTwitterで声を上げていた。Twitterタイムラインで聴講者同士が声を上げ合うことで参加感が強く演出されているのもこのイベントの特徴。他のイベントでも同じ取り組みはされているが、このイベントはなにせ参加者数が多い。そのためハッシュタグを追うだけでもかなり一体感を得られたのだった。

手順書作成の面倒くささに賛同の声が集まった

 一方CLIの方は初期の学習コストこそ高いものの、一度身につけてしまえば長く使える。ベースはUNIX系のコマンドなので、波田野さんいわく「20年前の知識が今でも活かせる」とのこと。

 20分単位でセッションが組まれており、イベントのテンポはとてもいい。そして、セッションの合間に挟まる動画が実に格好いい。最初にタイムテーブルを見たときには、あまりの密度の高さに「これは確かに頭わるい(褒め言葉)」と思ったが、逆に20分単位なのでどこから参加してもすっと流れに乗れる。1セッションが短いため、話者も論点を絞っていてわかりやすい。これはどこまで計算されたことなのだろう。

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