ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第579回
Tiger Lakeの内蔵GPU「Xe LP」は前世代のほぼ2倍の性能/消費電力比を実現 インテル GPUロードマップ
2020年09月07日 12時00分更新
GPUは1チップ構成だが
GPGPU用途ではマルチチップ構成を想定
Media Sliceは動画のエンコード/デコードを担当するユニットだが、コーデックをダブル搭載できるとか、SFCを複数実装できるあたりが拡張機能となる。後で出てくるXe SG1は、このMedia Sliceが重要なポイントだという説明であった。
Memory Fabricは、これもさまざまなオプションが用意されている。通常はまず3次キャッシュが使われるが、HPC向けにはここにRambo Cacheが充てられることになるようだ。
![](/img/2020/09/06/3090228/l/0948f3e3f6b040c1.jpg)
Memory Fabricの説明。SoCからPonte Vecchioまで、基本構造は同じとなると、当然こういうなんでもありの構成になる。ただ現実問題としてSoCとPonte Vecchioでは扱うデータ量が桁違いなので、内部のインターコネクトも当然帯域が大きく変わるわけで、実際には基本的な設計図が同じだけで、実装はだいぶ違ったものになっていると思われる
PCI Expressは当然として、ここにLocal MemoryやXe Link/Tile-to-Tile I/F、さらにDisplay Unitなどがオプションで追加される形になる。
ちなみにスケーリングであるが、ことGPU(つまりグラフィック向け)に関して言えば、昨今ではマルチチップ構成はあまり好まれない。これは連載515回でNAVIのRB(Render Backend)の説明でも触れたが、Deferred Renderingを多用する場合、多数のEUから同一のメモリーエリアに対してアクセスが頻発することになる。
NAVIの場合はこれを1次キャッシュでカバーしているわけだが、仮にマルチチップになるとRBがアクセスしようとしたメモリー(の内容を保存しているキャッシュ)が別のタイルにあるかもしれない。そうすると、アクセスが猛烈に遅くなる。
これもあってマルチチップの技法はAMD/NVIDIAともに採用しておらず、インテルもやはりXe LPやXe HPGでは1チップ構成で済ますようだ。
一方でGPGPU的に利用されるXe HP/Xe HPCの場合は並列度を上げても有効に使いやすく、またRBみたいなニーズも薄いことから、マルチチップ構成を積極的に追及する方向のようで、EMIBを利用した最大4Tileのパッケージや、マルチパッケージの接続が想定されている。
![](/img/2020/09/06/3090229/l/4e46ce2038af7784.jpg)
連載569回で説明した、Raja氏が手に持っているものが、このTile方式で接続されたものと思われる
![](/img/blank.gif)
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