首相になることがほぼ既定路線と言われている菅義偉氏が自民党総裁選に立候補した。先日の記者会見では、携帯電話料金の引き下げに意欲を示した。
「携帯電話料金。国民の財産である公共の電波が提供されているにもかかわらず、上位3社は市場の9割を占める寡占状態を維持し、世界的に高い料金で約20%もの営業利益を上げている。私が一昨年、4割程度引き下げられる余地があると表明したのも問題意識があるからだ。事業者間でしっかり競争が働く環境をさらに徹底していきたい」
一国の首相が特定の産業に対して値下げを迫るというのは前代未聞とも言える。ただ、一方で、国民感情としては「毎月、スマホ料金の負担が大きい」と感じているのは事実であり、国民から支持を得るには申し分のない「マジックワード」であることは間違いない。
ただ、2018年夏に菅氏が「日本の携帯電話料金は高すぎる。4割値下げできる余地がある」と発言。総務省では、市場の競争環境を活性化させようと、2019年10月に電気通信事業法を改正したが、これがさっぱり効果を発揮できていない。特に端末の購入補助(いわゆる割引)に対して上限2万円の制限がついてしまったため、ハイエンドばかりの5Gスマホは特に手が出ない雰囲気になってしまった。
法改正に加え、さらにコロナ騒動というダブルパンチにより、競争が促進されるどころか、スマホ市場全体が冷え込んでしまったのだ。
ただ、総務省では、有識者会議「競争ルールの検証に関するワーキンググループ」を設置し、ここ数年の市場動向を検証したようだ。だが、結局、スマホが売れないのは「コロナのせい」になってしまったようで、法改正の失敗は認めるつもりはないようだ。
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