小型スピーカーらしからぬ、おおらかさ
ELACのCARINA BS243.4で「Song for LISTNERS」を聴く
2020年09月03日 13時00分更新
ツィーターだけでなく、ウーファーユニットも新設計
CARINA BS243.4は、上述のツィーターに、135mmアルミニウム・コーンウーファーを加えた2ウェイ・ブックシェルフ型スピーカーだ。このウーファーも新設計だ。振動板は、アルミニウムを複合曲率で成型したもの。この形状により分割振動による共振周波数を再生帯域外にシフトしている。上級機で採用されているAS-XRウーファーとは見た目もずいぶんと異なっている。
エンクロージャーの造りは、オーソドックスな箱形ではなく、背面に行くほど横幅を狭めた形状になっており、上から見ると扇形になっている。また、下部は斜めにカットされ、底部は金属製のベースに取り付けられている。このようになかなか凝った作りだ。斜めになった底面にはバスレフポートが備わっており、増強された低音が底部に向けて放射される。
こうしたエンクロージャーの造形は上級機譲りのもの。エンクロージャー内部の平行面をなるべく減らして定在波の影響を抑えようとする狙いだと思われる。また、内部に補強を入れることで強度を高めている。底部にしっかりとしたベースがあるので、スタンドでなく、ラックなどに置いて使う際もしっかりとした設置ができそうだ。
このように、CARINA BS243.4は、従来のBS240系統のモデルと比べると、随分と印象が変わっている。JETツィーターの印象こそ近いものがあるが、それ以外はまったく別物だ。アンドリュー・ジョーンズ氏が開発を担当していることもあるし、上級機譲りのエンクロージャーの設計といい、ELACの新世代のスピーカーとして完成していることがわかる。
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