このページの本文へ

なぜモビリティサービス事業者はAWSをインフラパートナーに選ぶのか、AWSが説明会

トヨタ、ゼンリン、小田急も ―国内でも加速する“MaaS on AWS”トレンド

2020年08月27日 07時00分更新

文● 五味明子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

MaaS周辺領域でAWSの活用が進んでいる理由

 ここで岡嵜氏は、MaaSを取り巻くさまざまな領域でAWSの活用が進んでいる理由について、以下の2つの特性を強調している。

・エマージングビジネスを支える特性 … MaaSという新しいインダストリレイヤで成長していくためには、「ユーザに対して利便性の高いサービスをスピーディに提供する」というケイパビリティがカギとなる。より具体的に言うなら、MaaSプレイヤーは自社が提供するアプリケーションの開発に集中するべきであり、そのためのインフラ基盤の管理はパブリッククラウドにオフロードすることが望ましい。

 また、成長が速いMaaS市場では、アイデアをすぐにかたちにできる環境が求められるが、オンデマンドで必要な開発環境をすばやく調達でき、使用したリソースの量に応じて料金を支払えばよいクラウドサービスは、MaaSプレイヤーにとって導入のハードルが低い。また、ビジネスのスケールにあわせてサービス(アプリケーション)を拡張しやすい、疎結合なマイクロサービスアーキテクチャであることも大きい。

AWSがMaaSで活用される理由としては、新しいビジネス(エマージングビジネス)に対応しやすいことが大きい。インフラの調達や管理のオフロードが容易で、アイデアを実現するアプリケーションを開発するための環境が手に入りやすいため、仮に失敗したとしても速いリカバリが可能になる。ビジネスのスケールにあわせてアプリケーションもスケールできる柔軟なアーキテクチャであることの評価も高い

・異業種連携を支える特性 … MaaSはさまざまな業種のプレイヤーが参加するため、セキュアなデータ連携が担保される必要があるが、AWSにはそれを実現するさまざまな機能(権限管理、暗号化、証跡保存など)が揃っており、実績も多い。さらにグローバルで24のリージョンを展開しており、MaaSビジネスをグローバルにスケールしやすい。加えて膨大な技術情報が蓄積されており、開発者の学習コストを最小化できる。

もうひとつの理由が異業種連携をしやすいこと。業界ごとに異なるデータ形式はもちろん、商習慣や文化、コミュニティなど、異なる世界をつなげるインクルーシブな思想がテクノロジに反映されている。東京を含め、世界中にリージョンが置かれているので、グローバルなビジネスの連携や拡大がしやすいことも大きい

 また、MaaSを実現するために必要なコア技術を、データの収集、クラウドへの集約、ストリーム処理、マシンラーニング、モバイルアプリケーション開発/デプロイといったあらゆるフェーズで幅広くカバーしている点もAWSの大きな強みとなっている。

移動体(デバイス)からのデータ収集、エッジやクラウドへのデータ集約と処理、MaaSアプリの開発とデプロイなど、AWSの技術はMaaSに必須の要素を幅広くカバーする

 AWSではこれらの技術を使いやすくテンプレート化したコネクテッドカーソリューションを2017年から提供してきたが、MaaSビジネスの拡大にともない、大幅な機能拡張を実施した新たなリファレンスアーキテクチャ「AWS Connected Mobility Solution(CMS)」として2020年中に公開することを明らかにしている。

2017年から提供してきたコネクテッドカーソリューションを大幅に拡張したリファレンスアーキテクチャ「AWS Connected Mobility Solution(CMS)」を2020年中にリリースすると発表

カテゴリートップへ