RPA導入成功の鍵をユーザックシステムの小ノ島名人が語る

RPA導入はなぜ情シスが主体的に進めるべきなのか? ユーザックシステムに聞く

文●大谷イビサ 編集●ASCII

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 純国産のRPA製品「Autoジョブ名人」を手がけるユーザックシステム。900社を超える導入実績を見てみると、RPAの成功は情報システム部の主体的なプロジェクト管理と、現場部門との連携にあるという。情報システム部によるAutoジョブ名人の成功事例についてユーザックシステムの小ノ島尚博氏に聞いた。

ユーザックシステム 小ノ島 尚博氏

シナリオが作れること=RPAの成功ではない

 Web EDIの入力自動化からスタートし、16年の歴史を持つユーザックのRPA製品は、すでに導入が900社を超えている。「もともとは企業間の受発注で使われることが多かったので、流通、小売、食品メーカー、物流関係の企業が中心でした。最近では、金融や住宅関連、IT企業、自治体、学校にまで広がっています」と小ノ島氏は語る。

 たとえば、製造業の昭和電機は、勤怠管理システムのリマインダーや顧客からの納期回答をAutoジョブ名人で自動化している(関連記事:RPAを導入し59の業務改善に着手
年間10,500時間の削減を目指す
)。勤怠管理に関しては、今まではタイムカードの押し忘れを人事担当者が月末に一人ずつメールで通知していたが、RPAの導入により、業務時間を短縮した。また、1日600件以上あったという顧客からの納期回答に関しては、基幹システムで納期を調べ、ドキュメントに流し込んでFAXやPDFで送る作業をAutoジョブ名人が行なっている。

 前述した2つの業務を自動化した後、昭和電機はすでに60種類中すでに40 種類近くの業務で自動化を進めているという。「最初の2つの自動化は当社が開発しましたが、あとは開発のやり方を指導することで、お客さま自身がRPA化する業務を決めて、自動化を推進しています」(小ノ島氏)。こうしたユーザー企業によるDIY開発はすでに半分近くにおよんでおり、ユーザー企業や部門が自らの手でRPAを現場に根付かせている状態だ。

 一方で、ユーザックシステム自体は情報システム部がRPA導入と運用に主体的に関わるべきと考えている。RPAの導入は、ロボットを動かすためのシナリオを作るだけではなく、業務自体をきちんと可視化し、ロジックを設計する必要がある。また、安定動作のためには障害対応やメンテナンスも重要になってくる。そのためには、こうした作業に長けた情報システムが導入に携わるべきというのが、小ノ島氏の持論だ。「RPAはプログラム知識がなくてもシナリオを作れるから、Excelのマクロのように自分の仕事を自分で自動化すればいいという声はよく聞かれます。ただ、シナリオがうまく作れることと、RPAが成功することは別のことなのです」と小ノ島氏は指摘する。

 もし現場部門だけで作ると、たとえ業務に精通していても、メンテナンスのできない「野良ロボ」ができたり、動かないロボットができたりする。こうした失敗の経験が積み上がって、昨今よく言われる「RPAへの幻滅」につながっているのは想像に難くない。「最初『野良ロボ』の話を聞いたとき、私はピンときませんでした(笑)。なぜなら、われわれのお客さまは情報システム部主導でプロジェクトを進めていることが多いので、野良ロボの事例がなかったからです」(小ノ島氏)。

「情シスにとって開発・メンテナンスしやすい」が鍵

 実際、情報システム部がAutoジョブ名人の導入を主導した食肉卸会社のフードリンクは、「情シスにとって開発・メンテナンスしやすい」という理由でAutoジョブ名人を選んだという。

 具体的にはどういった点が情報システム部にとってうれしいのか。たとえば、Autoジョブ名人のシナリオ開発画面は一般的なフローチャート型ではなく、Excelのような一覧表示のリスト型を採用している。「フローチャート型のほうが使いやすそうに見えますが、情報システムの方々にとってはリスト型のほうが一覧性に優れているため、評判がいいです。1つ1つのアイコンをクリックしなくても処理の流れがわかりますし、編集しやすいという評価をいただいております」と小ノ島氏は語る。また、開発画面では1つの処理に対してメモ書きでき、一覧にも表示されるので、複数の管理者でも情報共有しやすくなっているという。

メモ書きできるリスト

 フードリンクの事例(関連記事:情報システム部門による開発と徹底したユーザー部門サポートフードリンクの事例に見るRPAの活用・運用術)は、RPA導入を成功させるための示唆にあふれている。ユーザー向けのマニュアルをきちんと作り、現場部門と連携してルールも決めた。また、RPA化した業務を月に一度、手作業で行なっている。作業を忘れないようにするという目的のほか、その業務のやり方が果たして正しいのかを見直す機会にもなっているという。

 とかく現場部門と情報システム部門の関係がよくない会社は多いが、RPAは両者が連携しないと成功はおぼつかない。情報システム部は現場部門の困りごとや課題をつねにヒアリングし、現場部門は情報システム部と相談できる関係を構築することこそ肝要だ。「RPAはいままで情報システム部が手がけることができなかった業務の自動化まで踏み込むことになります。だから、RPAを現場にポーンと渡して、あとは教育したら終わりではうまくいきません。それ相応の負担と覚悟が必要になります」と小ノ島氏は指摘する。

 しかし、相応の負担と覚悟でプロジェクトを進めることで、得られる成果も大きい。RPA事例でよく出てくる「月間で●●時間の業務時間削減」といった定量的な成果はもちろんのこと、「人が本来やるべき仕事にフォーカスできる」からだ。小ノ島氏は、「集計、検索、入力などの繰り返し作業なんて、本来は人がやらなくてもいいし、多くの人がやりたがらない仕事です。(Autoジョブ名人で)そういった作業から解放されたことで、『ストレスが減った』『人材の定着がよくなった』『ミスが減った』といった声もいただいています」とアピールする。

 人手不足で人材確保や定着が難しくなり、働き方改革で多くの会社員が定時で帰る必要があるこの時代、業務時間を削減して、本来人がやるべき業務にフォーカスできるRPAの導入効果はきわめて大きい。情報システムがチャレンジする価値は十分にある。
 

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