EDIから汎用RPAまでユーザックシステムの小ノ島名人が語る

安定稼働の国産RPA「Autoジョブ名人」が歩んできた16年

文●大谷イビサ 編集●ASCII

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 人手不足や働き方改革などの文脈で大いに注目を集めるRPA。さまざまな製品が入り乱れる市場において、老舗としての強みを活かした「安定して動くRPA」を提供しているのがユーザックシステムズだ。同社のRPA製品「Autoジョブ名人」が生まれた背景と導入実績、そして製品の強みについてユーザックシステムの小ノ島 尚博氏に聞いた。

ユーザックシステム 小ノ島 尚博氏

「ブラウザ画面の操作を自動化できないか?」という声からスタートしたRPA開発

 ユーザックシステムでRPA製品の開発が始まったのは、RPAという言葉が生まれるはるか以前の2004年にさかのぼる。

 もともとユーザックシステムは企業間の受発注をオンライン化するEDIのパッケージソフトを手がけており、大手小売事業者と卸・メーカー間での受発注において多くの実績を持っていた。2000年以降、時代の変遷とともにファイル交換型のEDIから、インターネットを用いたWeb EDIにシフトし、利用する側はブラウザさえあれば受発注ができるようになった。しかし、受発注データがファイルという形に登録されているファイル交換型EDIと違い、Web EDIの場合はオペレーターがブラウザ画面をいちいち操作する必要があり、ユーザーの作業負担が増えてしまうという課題があった。「画面操作をなんとか自動化できないか?というお声をお客さまからいただき、さまざまなWeb画面の操作を自動化できるよう開発しはじめたのが2004年なんです」(小ノ島氏)。こうして開発したWebブラウザ版のRPAが「Autoブラウザ名人」になる。

 Autoブラウザ名人の開発はかなり苦労したという。単に画像認識や絶対座標だけでクリックしたり、項目にデータを入力する操作は、Webブラウザのサイズや画面デザインが変わったときに対応できない。そこで同社ではこうした画像認識ではなく、WebページのHTMLタグを解析し、対象の項目を特定するというタグ指定という方式をとった。これにより、Webブラウザのサイズや画面デザインが変わったときでも安定した入力の自動化が可能になったという。今となっては当たり前のタグ指定型のRPAをユーザックシステムでは開発当初から標榜してきたわけだ。小ノ島氏は「決して誤ってはいけない企業間の受発注を扱ってきたので、RPAに関しても安定性を最重要視して、開発してきた歴史があります」と振り返る。

項目の指定方法と安定度

 もう1つは電子メールへの対応だ。1990年代からコミュニケーションツールとして使われてきた電子メールだが、2000年代に入ると企業間の受発注にも使われるようになってきた。「注文情報のExcelやCSVデータをメールに添付して受発注を行なうという方法が増えてきたのですが、こちらも作業の手間がかかります。営業担当はメールで来た添付ファイルを確認して、印刷し、別の担当が基幹システムに入力し直しなければなりません」(小ノ島氏)。こうした作業の自動化に関してはユーザーごと個別に開発していたが、多くのユーザーのニーズを受けて、メールに特化したRPAを作ることにした。こちらが2010年にリリースされた「Autoメール名人」だ。

 こうしてWebブラウザとメールの受発注業務を自動化してきたユーザックシステムだが、2010年以降は多くの企業で業務システムがWeb化され、クラウドサービスが台頭してきたことで、Autoブラウザ名人を受発注以外の用途で利用することが増えてきた。「たとえば、特定のWebサイトの情報を定期的に収集したり、グループウェアの入力を自動化したり、お客さまが利用の幅を拡げてくれました」(小ノ島氏)。

 そして、2018年に満を持してリリースしたのが現在の主力製品「Autoジョブ名人」になる。Webブラウザやメールなどアプリケーションに特化した既存の製品に対して、汎用型RPAを謳うAutoジョブ名人はWindowsやOfficeアプリケーションの操作も可能になり、用途は一気に拡がったという。

Autoジョブ名人が選ばれてきた3つのポイント

 RPAは2018年頃に日本でもブームが巻き起こり、国産・外資含めて数多くのメーカーが市場に参入している。RPA製品にはさまざまな選定ポイントがあるが、製品形態としては、大きくサーバー型(クラウド型)RPAとデスクトップ型RPAの2つに分類されることが多い。このうちAutoジョブ名人はPC上で動作するデスクトップ型に分類される。

 サーバー型(クラウド型)RPAと比べたメリットは価格の安さだ。「デスクトップ型のAutoジョブ名人は年間60万円 。しかも、弊社の場合は開発版が付属しない実行版だけでもお求めいただけるので、年間18万円で始められます」と小ノ島氏は語る。サーバー型にもさまざまなメリットはあるが、まずはコストを抑えて小規模に始めたいという中小企業にとってありがたいライセンス体系と言える。

 また、定期実行可能なスケジュール機能が標準搭載されているのもAutoジョブ名人が選ばれる大きな理由だ。「弊社のRPAは2004年の頃からスケジュール機能を標準搭載しているのですが、汎用RPAの多くは意外とこの機能を実装していません。こうなるとWindowsのタスクスケジューラーを使わなければならず、カレンダーと連携しようとすると、別途管理製品が必要になるというRPAも多いです」と小ノ島氏は指摘する。特定のディレクトリにファイルが保存されたことをトリガーに自動実行する機能もあり、現場の細かいニーズに応えられる。

スケジューラーを標準搭載

 最大の強みは開発体制とサポートだ。「RPAを導入したいけど、社内に開発する要員がいないという会社は多いです。その点、弊社は単にRPA製品を作るだけのベンダーではなく、業務をヒアリングして、お客さま向けの自動化を開発するところまで請け負えます」と小ノ島氏は語る。受発注や帳票・伝票関連の業務ソリューションやデータ変換ツールなど、RPAの前処理・後処理で役に立つツールも包括的に提供しているのも同社の大きな特長だ。

 さらに同社のサポートはライセンス費用に含まれており、開発に困ったときにはメールや電話でサポートを受けられる。「1ヶ月に5インシデントなどといった制約もなく、無制限に問い合わせいただけます。もともと弊社はRPAメーカーというより、業務パッケージや受託開発の会社ですので、稼働までの支援は当たり前のように提供してきました」と小ノ島氏はアピールする。変化する時代においても、企業が安心して長く業務を任せられるRPA。それがAutoジョブ名人だ。
 

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