そこで同社では、次の5つの観点からレノボのPC修理体制の改善を進めていった。
- 着荷および受付業務の改善(NECPC独自の修理品管理システムの適用)
- 診断および検査時間の短縮化(NECPC開発ツールの適用)
- 部品配膳時間の短縮と在庫部品不足の改善(NECPCの修理部品予測ノウハウの適用)
- 管理体制の変更(Daily管理からMin管理、作業者個人別、お客様別管理へ)
- ベストプラクティスの共有により作業者の行動改革を行い、生産性を向上
NEC PCとレノボのPCの修正体制は別々に構築しており、NEC PCの修理スタッフには、10年以上携わっているベテランが多い。それに対して、レノボの修理スタッフは、修理対象を全機種に展開したのが2016年ということもあり、数年の経験者が中心となっている。 そうしたことも含めて、すでに95%の1日修理率を達成しているNEC PCのノウハウを活用することが、レノボのPCの1日修理率を高めるための近道だったといえる。 たとえば、現場では、NEC PCでの修理体制をもとにした「モデルケース」をつくり、これをレノボにも横展開した。
1日の修理件数が多い人や作業が迅速な人の作業時間の配分の仕方、行動の仕方などをモデルケース化。これをもとに、スタッフの作業時間の配分を見直したり、作業の仕方を改善したりといったことを行った。
現場には、作業時間をリアルタイムに可視化するツールを導入しているが、これを分析すると、NEC PCの修理スタッフは、午前中に診断をする作業比率が高いこと、さらに、作業の難易度を考慮し、修理する機種を選択し、優先着手していることなどが、修理時間の迅速化につながっていることがわかったという。
具体的には、群馬事業場では、当日の最終出荷に間にあわせるには、午後4時30分までに修理を完了させなくてはならない。当日出荷のためには、午前中に診断作業をいかに行うかが重要になる。それに向けて、1日の時間配分をリデザインするといったことを行ったという。
このほかにも様々な工夫を凝らし、試行錯誤の結果、2020年3月に、レノボのPCにおいても、1日修理率95%を達成。2020年1~6月の半年間の実績でも、1日修理率は95%に達したという。
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