NECパ―ソナルコンピュータ サービス事業部修理デポオペレーションシニアマネージャの小林大地氏は、「スピードだけでなく、修理したPCが、きっちりと動作することが最も大切である。スピードと品質を高い次元で両立することができた」と自信をみせる。
実は、レノボのPCの1日修理率95%の目標は、2018年5月に、レノボ・ジャパン/NEC PCの社長に就任したデビット・ベネット氏が、最初に掲げた公約であった。
社長就任後、ベネット社長が最優先したのが、自ら米沢事業場と群馬事業場を訪問することだった。
「PCの生産を行う米沢事業場や、PCの修理を行う群馬事業場を訪れて、良い意味で驚き、感銘を受けたのが、品質や標準化への徹底した取り組みだった」とそのときを振り返る。
ベネット社長は、長年、AMDに在籍しており、全世界のPCメーカーの工場を訪問した経験を持っている。その経験からも、「ここまで徹底して、品質にこだわる工場はない」と感じたという。
そして、1日修理率95%以上を実現していた群馬事業場における修理体制の充実ぶりにも驚いたという。その時点で、レノボのPCの1日修理率は88%。さらなる改善を進めていた段階であったが、社長として最初の公約として、95%という数字を打ち出したのだ。 本来ならば、新製品の方向性などを大々的に打ち出してみたほうが対外的にはよかったのかもしれない。だが、ベネット社長はあえて修理率という、いわば「地味」な数字を最初に掲げてみせた。
その背景には、ベネット社長ならではの視点や思いがあったといえる。
「日本のお客様は、品質やサービスに対する満足度をとても重視する。そのひとつが、すぐ修理を行ってくれるということだ。1日修理率を95%にすれば、万が一PCが壊れても、安心して使ってもらえる。そして、次もレノボを購入してもらえる」として、「この水準で修理を行う外資系PCメーカーは初めてになる。レノボのPCに対する満足度を高めるには、1日修理率95%の達成は大切だと考えた」と語る。
レノボ・ジャパンでは、2019年後半から、「JAPAN MADE & SUPPORT」というメッセージを打ち出している。
これは、レノボのPCは、日本で開発、製造され、同時にサポートも日本で行っているということを打ち出したものだ。つまり、日本品質での開発、製造、サポート体制を整えていることを示している。
実際、ThinkPadは、横浜市みなとみらいの大和研究所で開発され、ThinkPad シリーズのウェブ販売モデルのカスタマイズ生産や、法人向けデスクトップのThinkCentre シリーズのCTO生産は米沢事業場で行われている。そして、群馬事業場での修理は、1日修理率95%という高い水準で達成してみせた。この体制が整ったのはベネット社長が就任してからになる。
ベネット社長は、「研究開発、生産、物流、サポートまでのすべてを日本で行い、日本の品質で提供することができる体制が整った。これは、他社にはない強みとなっている」と語る。
言い換えれば、レノボブランドのPCを、日本のユーザーに安心して使ってもらうための仕組みが確立されたといっていいだろう。
そうした観点から見てみると、ベネット社長が、就任最初の公約に、あえて1日修理率95%を掲げた意味がわかってくる。
レノボ・ジャパンは、2020年度のPC市場のトレンドとなっているテレワーク、GIGAスクール(教育向けPC)、ゲーミングPCという3つの領域に向けて、戦略的製品を用意している。そこに、高い次元で品質とスピードを実現した「JAPAN MADE & SUPPORT」が組み合わされることになる。
次の成長に向けた地盤を築くことができたといっていいのかもしれない。
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