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石川温のPCスマホニュース解説 第84回

総務省がMNP無償化を検討しているが、乗り換えメリットが少ないことが元凶なのでは?

2020年07月29日 09時00分更新

文● 石川温 編集● ASCII

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●ワンストップ化すれば「引き留め工作」は減る

 これまでMNPをしようと思うと、ユーザーはまず、現在契約しているキャリアに電話などの連絡をして、MNP番号を発行。その番号を持って、新しく契約したいキャリアやMVNOと手続きをする流れとなる。

 しかし、このすでに契約しているキャリアに連絡する際に、引き留めにあうことが多い。例えば、MNPをしなければ謎のポイントを付与してくれるとか、サブブランドや同じグループのMVNOを熱心に紹介してくるといった具合だ。これにより、他キャリアへのユーザーの流出を抑えるのだ。一方、格安スマホなどのMVNOを手がける事業者とすれば、これではユーザーの獲得が困難になる。結果として、流動性は落ちるわけで、値下げ競争にはつながらない。

 そこで、総務省では、解約したキャリアに連絡することなく、ユーザーが新しく契約したいと考えているキャリアやMVNOでMNPの手続きをすれば、そこで簡単に番号を持ち出せるようにしたいようだ。これまで契約していたキャリアへの連絡が不要となるので、引き留め工作にあう心配もない。

 実際、アメリカなど他のほとんどの国ではワンストップが当たり前で、簡単に他キャリアに乗り換えられるようになっている。

 一方、日本ではほとんどのキャリアが「ユーザーに対して、残債や期間拘束契約の説明をしなくてはならない。ワンストップ化は賛同できない」と反発しているのだった。

 確かに、これまでは2年契約をしていると9500円の解除料が請求されることもあり、ワンストップ化で何も考えずにこれまで契約しているキャリアをやめると高額な請求を受けるという危険性もあった。しかし、ここ最近は解除料が9500円から1000円に値下げ、さらには解除料を設定しないキャリアも出てくるなど、こうした心配は不要になりつつある。

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