1リッター3気筒とは思えないターボエンジンの力強さ
小さいのに大きく見えて広い、というのはわかりました。では走ってどうなのか? 走行性能をチェックします。
1リッター3気筒ターボで96PSというエンジンスペックを聞いた限りでは、大したことないだろうとなめていたライズ。しかし走り出した瞬間、アクセルを踏み込み始めた瞬間の力強さに驚きを隠しきれません。いや、むしろ速い。
このエンジン、ヤリスの1リッターバージョンにインタークーラーターボをつけたものですが、最大トルクの発生回転数が2400~4000rpmと幅広く設定されているために中間加速がかなり速いのです。実際に首都高速道路も都心環状線や4号新宿線、湾岸線と運転しましたが、制限速度内であれば左右どちらの車線も非常にスムーズに走れます。
また、ダイハツ版「TNGA」ともいえる次世代プラットフォームの「DNGA」を採用し、ボディー剛性なども向上しているために、車高が高いSUVであるにもかかわらずコーナーリングはビシッと決まります。ステアリングを切った分だけきれいに曲がってくれる印象です。
路面のしっかりした道では17インチホイールのタイヤを履いているとは思えないほど軽快な乗り心地を示します。その一方、ラフな路面を走る場合や高速道路の高架部の継ぎ目などでは多少の突き上げを感じます。ボディー剛性の向上でサスペンションがよく動く印象なので、この突き上げはショックアブソーバーのコストの問題ではないかと思います。我慢を強いるというレベルではありませんが、気になる方は購入後にトヨタのカスタマイズも行なう拠点である「GR GARAGE」に相談に行くといいかもしれません。
しかし総じて乗り心地はいいので、その部分は生田ちむさんもかなりお気に入りのようでした。
トヨタ製とは少しだけ違う装備
しかし価格は破格の206万円!
ライズはトヨタ車ではありますが、ダイハツでの開発のため装備が若干違います。
一番の違いはオーディオレス設定であることです。トヨタ製の場合、2019年のカローラやクラウン以降はスマホ対応のディスプレーオーディオが全車で標準装備となっており、そこにカーナビやアンプを追加してオーディオグレードを上げていく方式です。つまり、ユーザーインターフェースは共通になっています。
しかし、ライズはこのディスプレーオーディオもメーカーオプションとして設定され、何も注文しなければ配線と蓋だけのオーディオレスで納車されます。試乗車に装着されていたのはディスプレーオーディオではなくトヨタ純正のカーナビ。Bruetooth接続でAndroid機でも音楽再生はできますがGoogleマップなどは使えません。
そのかわりと言ってはなんですが、今どきのSUVとしては破格に安い車両本体価格。なんと試乗車であるFF最上級グレードのZが、アダプティブクルーズコントロールなどの安全装備満載でなんと206万円!(税込) そしてFFだと車重が990kgのため重量税も安い。ガソリン車のくせにJC08モード燃費はガソリン1リッターあたり21kmちょっと。追加装備をつけるとすれば車高入れなどに便利な、モニター上にクルマの真上からの映像を疑似的に作り出してくれる「パノラミックビューモニター」くらいでしょうか。
基本骨格とエンジンが同じでシートや安全装備が簡素化され、16インチホイールのタイヤがついたグレードのXであれば車両本体価格が税込み167万9000円からと、今どきの軽自動車の最上級グレードよりも安いのです。実際にライズが売れまくっている理由は基本性能の高さとこの安さ、つまりコスパの良さと言えるでしょう。
トヨタの「C-HR」とは競合しないのか?
昨年マイナーチェンジで1.2リッター4気筒インタークラーターボエンジンが追加されたC-HR。1リッターと1.2リッターのともにターボエンジンということでライズとC-HRは競合しないのでしょうか?
結論から言うと競合はほぼしないと言えるでしょう。価格帯から見てもライズのFF最上級グレードのZより30万円高いのがC-HRのエントリーグレード「S-T」となります。ライズの顧客層は20代から50代と幅広く実用的な使用目的であるのに対し、C-HRは20代後半から30代全般という比較的若い層が実用以外のプレステージ性やファッション性を求めている場合が多いと思われます。
また、C-HRのガソリン車には6段マニュアルシフトが用意されるなど、スポーツ要素を織り込んでいます。デザイン的にもリアドアのドアノブを隠すような形で配するC-HRはクーペ志向が強いのが特徴です。
ライズをはじめトヨタのSUVは、今後登場するハリアーも含めて緻密に計算されたターゲットでのラインナップとなり、SUVブームとなりつつある昨今をけん引する役目を担うつもりなのでしょうね。

この連載の記事
-
第617回
自動車
BMWのコンパクトセダン「2シリーズ グランクーペ」が日本の道でマジでイイ5つの理由 -
第616回
自動車
大きくても惹かれる理由がある! アウディの新型「Q5」は全車マイルドハイブリッド化で隙ナシに -
第615回
自動車
「え、これ軽自動車?」運転席をフラットにして車中泊できる日産の軽自動車「ルークス」の本気がヤバい -
第614回
自動車
本気で欲しい! 絶滅危惧種V8 NAを積むレクサス「RC F」、最後にして最高の有終の美に心が震えた -
第613回
自動車
さよなら、スープラ。2026年生産終了を前にこの「直6ピュアスポーツ」を手に入れるべき理由 -
第612回
自動車
「カワイイ顔して、中身はタフ」女性支持4割の三菱・デリカミニが、毎日の相棒に選ばれる3つの理由 -
第612回
自動車
荷物も積めて車中泊もOK! SUV一択で迷っている人にこそ教えたい「ステーションワゴン」の実力 -
第611回
自動車
テスラ・モデルYが劇的進化! スマホ世代を熱狂させる「走る巨大ガジェット」の正体 -
第610回
自動車
【最長航続距離846km】アウディ「A6 e-tron」はEVの航続不安を過去にする究極のグランドツアラー -
第609回
自動車
輸入車No.1の燃費とアルピーヌの走り! ルノー「ルーテシア」が叶える欲張りな選択 -
第608回
自動車
なぜセダンを廃止した? ワゴン一本勝負に出た新型パサートの「潔さと勝算」 - この連載の一覧へ





















