「VCF 4.0 on VxRail 7.0」にも対応し、Kubernetesコンテナ環境との一元運用も可能に
「Dell EMC VxRail」初のAMD EPYC搭載モデルなどラインアップ強化
2020年07月01日 07時00分更新
Dell Technologies(デルおよびEMCジャパン)は2020年6月30日、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品「Dell EMC VxRail」シリーズのラインアップ強化を発表した。新たにAMDの第2世代EPYCプロセッサ搭載モデルを追加する一方で、VxRail初の“高耐久性モデル”も用意し、船舶や航空機、工業プラントといった厳しいエッジ環境におけるHCIの利用提案を促進する。また最新版ソフトウェアにより「VMware Cloud Foundation(VCF)4.0」にも対応。さらに、販売キャンペーン「VxRail 2020キャンペーン」も展開する。
デル 執行役員 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 製品本部 本部長の上原宏氏は、「年内には(出荷金額での)国内シェア1位の奪回と、(出荷台数での)圧倒的な1位の獲得、そして永続的なトップシェアの維持を目指す。“HCIといえばDell Technologies”と想起されるような地位を獲得したい」と意気込みを示した。
最新の「vSphere 7.0」「VCF 4.0」にいち早く対応したVxRail
今回のVxRailの強化点は「VxRail 7.0 with vSphere 7.0」「VCF on VxRailのアップデート」「ハードウェアプラットフォームのアップデート」「VxRailソフトウェアのアップデート」の4点だという。EMCジャパン MDC事業本部 クラウドソリューション部 シニアマネージャーの市川基夫氏がその詳細を説明した。
まず最初のVxRail 7.0 with vSphere 7.0は、最新の「VMware vSphere 7.0」に対応したVxRailソフトウェアとなる。最新モデルを含むすべてのVxRailシリーズが対応している。市川氏は、VxRailが他社に先駆けて4月にvSphere 7.0に対応したこと、バージョンナンバリングをわかりやすくするためにVxRailのバージョン番号をvSphereに合わせたことなどを説明した。
「さらに、今回からvSphereの初期リリースを提供することになった。これはVMwareと共同開発を行い、ロードマップを共有する緊密な連携によって実現したもの。いち早く最新の機能を提供できる」(市川氏)
VCF on VxRailのアップデートでも、「Dell Technologies Cloud Platform(DTCP)」を強化して、最新版のVCFに対応する「VCF 4.0 on VxRail 7.0」を提供する。このVCFにはKubernetes環境のVMware Tanzuも組み込まれており、単一の自動化されたプラットフォーム上で、従来からの仮想マシンに加えてモダンアプリケーションのコンテナも一元的に管理/実行できる環境を実現するという。
「ハイブリッドクラウドに必要な要素をフルスタックで提供するのがVCF。これをVxRailに統合することで、共通基盤上でIaaSやPaaSなどのサービスを立ち上げ、インフラの標準化と自動化を推進できる。これによりアプリケーション展開スピードの向上、生産性の向上、簡単かつ迅速な反復的展開、そしてTCO(総所有コスト)削減が可能になり、SDDC(Software-defined DataCenter)の理想型を構築できる」(市川氏)
なお、VCF 4.0では最小4ノードからスモールスタートができる「VCF統合アーキテクチャー」が実装されており(従来の標準アーキテクチャーは最小7ノードから)、今回のVCF on VxRailでもこの新たな導入モデルが利用できる。なお、VCF 4.0 on VxRail 7.0の価格は個別見積もり。
第2世代AMD EPYC搭載のEシリーズ、過酷環境対応のDシリーズを追加
ハードウェアプラットフォームのアップデートでは、前述のとおり第2世代AMD EPYCプロセッサー搭載モデル、高耐久性モデルが新たに投入された。
まず、1Uサイズの汎用モデルであるVxRail Eシリーズに、EPYCプロセッサー搭載の「VxRail E665」が追加された。「シングルソケットでデュアルソケット級のパフォーマンスを実現する」8~64コアCPUを搭載し、最大1TBメモリ、PCIe 4.0をサポート。NVMe、オールフラッシュ、ハイブリッドストレージ構成のいずれにも対応する。汎用ワークロードやVDI、データベースなどの用途に適し、最小構成が3Uサイズ(3ノード)とコンパクトなためエッジへの配置にも適するとしている。
また、高耐久性モデル「VxRail Dシリーズ」を新たに追加した。発表された「VxRail D560」は、第2世代インテルXeon-SP(スケーラブルプロセッサー)を搭載し、2ソケットで最大48コア、1TBメモリを搭載。奥行きの短い(奥行き約50cm)本体設計で、スペース制約のある環境への設置にも適する。
Dシリーズは遠隔地のデータセンターだけでなく、船舶、航空機、工場、ガス/石油プラントといった過酷なエッジ環境での活用も想定されている。マイナス15℃~45℃(8時間以内であれば55℃まで)の耐温度性、40Gの耐衝撃性を実現。最大高度1万5000フィート(約4500m)でも動作するという。
ハードウェア強化点としてはこのほかに、仮想GPUを提供する「NVIDIA Quadro RTX 8000」GPUやインテル「Optaneパーシステントメモリ」のオプションも新たに追加されている。価格は、VxRail E665が600万円から、VxRail D560が670万円から(いずれも税抜)。
なお最後の「VxRailソフトウェアのアップデート」では、従来バージョンのアップデート(VxRail 4.7.510、vSphere 6.7.xに対応)による機能強化が紹介された。ライフサイクル管理(LCM)機能を強化し、アップグレード前のヘルスチェックをスケジュール実行できるようになったほか、VxRailクラスタ全体の特定バージョンへの再イメージ、ノードのダウングレードなども可能になっている。