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幅広い規模に合わせたVCFベースのクラウド基盤、マネージドサービス型のインフラ提供を国内発表

「ヴイエムウェアと足並みそろえ展開」Dell EMCクラウド戦略

2019年07月01日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 デルとEMCジャパン(Dell EMC)は2019年6月28日、クラウドビジネス戦略に関する記者説明会を開催した。Dell Technologiesファミリーでは今年4月、米ラスベガスで「Dell Technologies World 2019」を開催し、クラウドソリューションに関わる製品やサービスを相次いで発表した。今回の説明はそれに基づくものとなる。

 EMCジャパンでクラウドプラットフォームスペシャリストを務める吉田尚壮氏は、「Dell EMCではヴイエムウェアのクラウド戦略を支持し、足並みをそろえるかたちで展開することを明確にした」と語り、ヴイエムウェアの各種サービスを活用してオンプレミスとエッジ、パブリッククラウド間をシームレスにつなぐハイブリッド/マルチクラウド環境構築の支援に取り組む姿勢を明らかにした。

「Dell Technologies Cloud」のビジョン。ヴイエムウェアのテクノロジーをベースとして「一貫性」のあるハイブリッド/マルチクラウド環境をあらゆる場所に展開する
EMCジャパン アドバンスドテクノロジーソリューションズ事業部 クラウドプラットフォームスペシャリストの吉田尚壮氏

ハイブリッドクラウドソリューション「Dell Technologies Cloud」

 まず最初に紹介したのが、ヴイエムウェアとDell EMCのテクノロジーを統合して提供するハイブリッドクラウドソリューション「Dell Technologies Cloud」だ。具体的には、さまざまな規模/用途に対応したプライベートクラウド環境を提供する「クラウドプラットフォーム」ソリューションと、顧客拠点に設置したクラウドインフラをマネージドサービスで提供するData Center as a Serviceの「VMware Cloud on Dell EMC」という2つがある。

「Dell Technologies Cloud」は、プライベートクラウド環境を提供する「クラウドプラットフォーム」とマネージドサービスの「Data Center as a Service」をラインアップ

 吉田氏は、Dell EMCではDell Technologiesのファミリー企業であるヴイエムウェアとの連携を重視していると語る。

 「『VMware Cloud Foundation(VCF)』を提供しているハードウェアベンダーは少ないが、Dell EMCならば(VCFを搭載したインフラ製品の)幅広い選択肢を提供できる。また、顧客拠点のクラウドインフラをData Center as a Serviceというマネージドサービスのかたちで提供しているのはDell EMCだけだ」(吉田氏)

 Dell Technologies Cloudのメリットは、複数のパブリッククラウドを利用するマルチクラウド環境における「一貫性」の課題を解消できる点にある。吉田氏は、たとえばAWSとAzureではAPIの呼び出し方など“異なる作法”を習得する必要があり、それぞれに対応する管理者が必要になったり、「マルチクラウドによるサイロ化」が起きたりすると指摘する。

 「こうした課題を解決するために、ヴイエムウェアは一貫性のあるオペレーションを提供する。これにより、最適なマルチクラウド環境を構築/管理できる。Dell EMCではそれ(クラウド戦略)を支持し、データセンターやエッジにおいてヴイエムウェアと共同歩調を取りながらハードウェアを提供する。Dell Technologies Cloudでは、一貫性のある付加価値サービス、一貫性のあるオペレーション、一貫性のあるインフラを提供することができるようになる」

 たとえば「VMware Cloud on AWS(VMC on AWS)」は、AWSデータセンターにVMware環境を構築し、AWSのサービスの中でVMware環境を利用できる。これにより「VMwareの作法」を使ってAWS環境が利用できること、単一の管理コンソールからオンプレミス/AWSの両環境を管理できること、2つの環境間でワークロード(仮想マシン)を簡単に移行できることなどのメリットがある。吉田氏は「既存環境と新たなクラウド環境をシームレスにつなげ、マルチクラウドの世界を実現できる」と述べる。

VMware環境をベースにすることでハイブリッド/マルチクラウド環境間で「一貫性のある」インフラとオペレーションを実現する

小規模から大規模までカバー、VCFベースのクラウドプラットフォーム

 Dell Technologies Cloudでは、VCFベースのクラウドプラットフォームを構成するソリューションとして「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)」「コンバージドインフラ(CI)」「Ready Stack」という3つの形態をラインアップしている。

HCI/CI/Ready Stackの3形態でVCFベースのクラウドプラットフォームを提供可能

 まずHCIでは、VxRailとVMware Cloud Foundationを組み合わせた「VCF on VxRail」の提供をすでに開始している。VCFを組み合わせることにより、シンプルに、素早くハイブリッドクラウドへ移行できるのが特徴。HCIとして実績の高いVxRailにより煩雑なインフラ管理からも解放され、ユーザーはビジネスに集中できるようになるという。

 吉田氏は、VCFが提供する「SDDC(Software-Defined DataCenter)Manager」が、VMware環境の初期設定や構築、運用を自動化するとともに、最適化を実現することで、「展開スピードは15倍に向上し、生産性も2.5倍向上する」と説明する。またSDDC ManagerがVMwareを自動アップデートすることから、運用負荷の低減だけでなく、常に最新のセキュリティパッチが適用された健全な環境が維持できると述べた。

VCFの「SDDC Manager」により、ソフトウェアのインストールや設定、アップデートなどの作業が自動化され、展開スピードや生産性が大きく向上する

 Dell EMCのPowerEdgeサーバー、PowerSwitch、PowerMax/Unityストレージといった、VCF環境の検証済みハードウェア群で構成される“Ready Stack(仮称)”は、安全で確実なSDDCの導入と運用を実現するソリューションで、設計にかかわるリファレンスガイドを提供する役割も果たす。こちらは近日提供予定としている。

 CIについては、具体的な提供時期や構成内容は明らかにしなかったものの、HCIやReady Stackと同じようにVCFの機能が利用でき、同じ運用管理環境も提供すると述べた。

VCF動作検証済みハードウェア(Dell EMC製サーバー/スイッチ/ストレージ)で構成される“Ready Stack(仮称)”の概要

顧客拠点にマネージドクラウドを設置、管理者のいない拠点でも導入が容易に

 一方、DataCenter as a Serviceとして提供するのが、ヴイエムウェアの“Project Dimension”ベースで提供される「VMware Cloud on Dell EMC」である。これは顧客拠点に設置したクラウドインフラをDell EMCが運用管理し、コンピュートリソースを提供するマネージドサービスだ。北米ではすでに早期導入プログラムを開始しており、今年秋には一般提供を開始する。欧州やアジアでの展開は来年以降。

 具体的にはハードウェアにVxRailを採用し、顧客企業が指定したロケーションにVMware環境として配備する。現地でのセットアップやメンテナンス、またリモートからの監視や管理はDell EMC側で行うため、企業のIT管理者が常駐できないロケーションでもコンピュートリソースを配備できる。

 また管理者向けにはWebポータルが提供され、遠隔地から、他拠点の環境や他のクラウドサービスとともに一元管理が可能だ。Webを通じて新規導入や追加の注文を行えば、数週間後には稼働するシンプルさも特徴だ。

「VMware Cloud on Dell EMC」は顧客データセンターだけでなく、管理者が常駐できない営業所や店舗、地方拠点などへの配置にも適している
新規拠点への導入やリソースの追加はWebポータルから注文するだけ

AzureのベアメタルサーバーにVMware SDDCを組み合わせる「Azure VMware Solution」

 「Azure VMware Solution」も紹介された。これはMicrosoft Azureが提供するベアメタルサーバー環境を使ってVMware SDDC環境を提供するエンタープライズワークロード向けサービスであり、VMwareベースでマルチクラウドを実現していくうえで「新たにAzureを加えることができるようになった」と吉田氏は説明する。

 北米ではすでにエンタープライズ向けクラウドソリューションを提供するCloudSimpleが提供を開始しており、2019年後半以降にはDell TechnologiesファミリーのVirtustreamも提供を予定している。

「Azure VMware Solution」の概要。Azureのベアメタル環境にVMware SDDCを組み合わせて提供する

 吉田氏は、顧客企業のマルチクラウド活用を支援するためにコンサルティングサービスを強化していることも紹介した。「ロードマップとビジネスケースの作成」「アプリケーションのプロファイリング」「クラウドプラットフォームの導入・採用」「クラウドオペレーションモデルへの移行」という4ステップで、企業を成功に導くという。

 「KPIとなる評価基準の定義やロードマップ作成、ROIの算出のほか、最適な(クラウドへの)移行方法や積極的な自動化活用などを提案する。コンサルティングを通じて、顧客が“管理に悩まされない”マルチクラウドの実現を支援する。日本企業は先行事例を参考にすることが多いが、Dell EMCはグローバルでクラウドサービスを提供しているので、海外の事例も紹介していく」

 まとめとして吉田氏は、クラウドビジネスにおけるDell EMCの強みはハイブリッド/マルチクラウドの実現において、幅広く、さまざまなソリューションを提供できることだと述べ、「日本企業のマルチクラウド化を全面的に支援していきたい」と抱負を語った。

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