3歳児の保護者をしてます盛田諒ですこんにちは。緊急事態宣言から続いていた保育園からの登園自粛要請が終わり、ようやく通常保育に戻りました。この2ヵ月でわかりやすく夫婦げんかが増え、険悪な空気を察した子どもに「はるくんの声聴こえなくなっちゃうから!」と制止されることが増えました。はっとして子どもの目を見て謝ったりしています。修業が足りない。
新型コロナは働く親のしんどさをあらためて浮き彫りにしたなと感じます。保育園に行けなかったら子育てしながら働くしかないとか、親が倒れたら子どもの面倒を見る人がいないとか色々ありますが、とりわけ大きかったのは見えないまなざし。子どもを守るのも親の責任なら、子どもが人に迷惑をかけないようにするのも親の責任という見えない視線のプレッシャーです。
親としては子どもが閉じこもってばかりだと不健康ではと心配になり、かといって外に連れていくと視線が気になる。人目をしのんで公園に行っても遊具が封鎖されて使えず、かといって家から持ってきたおもちゃで遊ばせようとするとそこでもまた視線が気になる。公園で友だちと会ってしまえば、3歳児がソーシャルディスタンスを守って遊べるわけはなく、またしても視線が気になる。郊外に住んでいるので都心ほど視線を感じることは少なかったもののバスひとつ乗るにも緊張しました。
他方、見えるまなざしに助けられたことはたくさんありました。スーパーでいきなり走り出した子どもを追っかけているときに「あらっぼく元気ねぇ!」と店員さんがマスクごしにほほえみかけてくれたり。公園でキッズバイクの練習をしているとき散歩中の老夫婦から「かわいいわねえ」「がんばれぇ」とにこやかな視線を向けられたり。単に子どものかわいい姿を愛でていただけかもしれませんが、それでもにこやかな視線は親である私に向けられたようにも感じてあたたかい気持ちになります。
それでも3歳児からしてみれば、お父さんはまだいいよって感じでしょう。ぼくは保育園に行けないし、友だちとも会えないし、お父さんはそばにいるのに仕事だからって遊んでくれない。お父さんとお母さんがケンカしてるときは怖いのに誰も抱きしめてくれないし、ぼくは児童相談所とか社会福祉協議会に電話もかけられないでしょ。ぼくがお父さんみたいにツイッターやってたら、「休園と補償はセットだろ」ってタグつけて抗議行動やってたと思うよ。いやお父さんそれはやめてほしいな……。
自分自身うっかりすると子どものことを考えないままさまざまなことを言ったりやったりしてしまいますが、それでは子どもに対して申し訳ないです。子どもにかまっていられる余裕がなく、「そんな場合じゃない」ときこそ、しっかり子どもにまなざしを向けなければいけない。新型コロナだけがきっかけでもないですが、そんなことを最近よく考えさせられます。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。3歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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