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アビーム、日立、SCSKが新たなパートナーに、エンタープライズへのソリューション提案力強化の方針を明確に

「Google Cloudはパートナーが生命線」国内パートナー戦略を強化

2020年06月12日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 グーグル・クラウド・ジャパン(Google Cloud)日本代表の平手智行氏は、「Google Cloud Day: Digital」会期中の2020年6月9日に記者会見を行い、国内におけるパートナー施策について説明した。エンタープライズ市場での展開拡大においては、Google Cloudの持つ技術を顧客課題に応じたソリューションに転換するパートナーの協力が不可欠であることを強調し、新たなパートナー3社や支援施策の強化も発表している。

グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表の平手智行氏

「Google Cloudの技術を“使える状態”で届けるにはパートナー連携が重要」

 平手氏は、2019年11月1日付でグーグル・クラウド・ジャパンの代表に就任。本誌を含め一部メディアの取材は受けていたものの、記者会見という形で事業戦略に言及したのは今回が初めてとなる。

 まず平手氏が明確にしたのが、エンタープライズユーザーに対するGoogle Cloudの強みと取り組みの姿勢だ。

 「日本企業の変革が加速し、クラウド活用やデジタル活用、データ活用が大きく進むなかで、Google Cloudは、Googleがサービスとして提供している“尖った”技術を、顧客の課題解決に当てはめることができるという強みがある。地球規模で使われている検索機能やGoogle Map、YouTube、Googleフォトなど、同時に多くのユーザーが利用できる環境を支える技術、アーキテクチャを持っている」

 ただし平手氏は、そうした自社向けの“発明”をそのまま提供しても「顧客企業の価値にはならない」と続ける。顧客企業が「使える形」にすること、つまり業界や顧客企業の視点を取り入れ、既存システムとの整合性も取ったかたちで提供することで、はじめて「インベンション(発明)がイノベーションに変わる」。そしてこの取り組みを、パートナーの力を借りながら提供していくと語る。

 「Googleのテクノロジーは、そのものを“売るため”ではなく、サービスを提供するために作ってきたもの。オープンソースコミュニティの有力なメンバーとして、そうした技術を“粒々”の状態で開示し、デベロッパーに活用してもらってきた。だが“粒々”の状態では、エンタープライズユーザーは使えない。これを使える状態にして届けるための加工プロセスが必要であり、ここでパートナーとの連携が重要になる」

 特に日本市場においては、SIerの力を借りてシステムを運用する企業が多いため、既存システムのモダナイズや既存システムと新たなシステムとの連携を「パートナーと共に提案していく必要がある」と平手氏は語る。また、これまでオープンソースコミュニティからのアプローチだったためにエンタープライズユーザーにはわかりにくかった部分を変えて、「エンタープライズフレンドリーになっていきたい」という姿勢を示した。

「Google Cloudはパートナー主導の企業であり、パートナーが生命線」

 平手氏も指摘するとおり、エンタープライズユーザーに対するアプローチを強化するためにはパートナー連携が欠かせない。そこでGoogle Cloudではパートナー戦略強化の姿勢を示している。

 グーグル・クラウド・ジャパン 執行役員 パートナー事業本部長の高橋正登氏は、「Google Cloudはパートナー主導の企業であり、パートナーが生命線だ」と断言する。Google Cloudが提供する技術を、顧客課題に応じたソリューションに変えることができるのがパートナーだからだ。

グーグル・クラウド・ジャパン 執行役員 パートナー事業本部長の高橋正登氏

 Google Cloudでは、大手SIerやCIer、コンサルティングファーム、テレコムなどで構成される「Google Cloud Service Partners」、また国内外のハードウェア/ソフトウェアパートナーにより構成される「Google Cloud Technology Partners」のエコシステムを構築している。高橋氏は、Google Cloudプラットフォームを活用してサービス再販を行う「セル」、システムインテグレーションを行いデリバリする「サービス」、パートナー製品にGoogle Cloudのサービスを組み込んで提供する「ビルド」という3つの切り口でパートナー連携していると説明した。

 「この仕組みによって、Google Cloudが速いスピードでスケールできている。より多くの価値を届けるにはパートナーが重要であり、エコシステムの拡大によってエンタープライズユーザーを急速に拡大している」(高橋氏)

Google Cloudのパートナーエコシステム。今回新たに3社がパートナー参加することが発表された

 すでに大きな成果も出ている。2019年のGoogle Cloud新規再販額は前年比2.9倍(190%増加)に達したほか、パートナーが獲得した新規顧客数は2019年上半期に前年の13倍増、新規案件額は前年比85%増になった。Google Cloud認定資格取得パートナー数も、前年のの4倍(300%増)と急伸している。

パートナー経由でのGoogle Cloudビジネスは大きく成長している

「技術に精通しながらDXプロジェクトも牽引できる人材育成を支援」

 今回の会見では、日本における新たなパートナー(Service Partner)として、アビームコンサルティング、日立製作所、SCSKの3社が加わったことが発表された。高橋氏は、3社それぞれの強みとGoogle Cloudを組み合わせ、ソリューションとして展開されることへの期待を示す。

 たとえばアビームコンサルティングついては、日本で最も多くのSAP認定コンサルタントを擁しており、多様な業種/業務テンプレートを提供する「ABeam Cloud」にGoogle Cloudのデータマネジメントやアナリティクスのサービスを組み込むことで「エンタープライズにDXを提供できる」と語る。

 また日立製作所に関しては、OTとITを融合したIoTプラットフォーム「Lumada」と、Google Cloudが提供するデータマネジメントやアナリティクス、AI/MLといったサービスを組み合わせることで、デジタルイノベーションを加速する考えを示す。なお、今回の発表の中で日立製作所は「2020年秋に予定している『Lumada Solution Hub』とGoogle Cloud Platformとの連携により、Lumada事業の拡大を目指す」としている。

 SCSKでは、GCPソリューションの導入支援サービスを提供し、Google Cloudのデータ活用/分析、AI/MLといったサービス群を活用して顧客企業のDXを支援していくという。高橋氏は、設計開発の省力化や運用の自動化にもGoogle Cloudの先進的なインフラサービスを活用できるほか、自ら「働き方改革」を実践してきた企業として、Google Meetなどの活用実績を顧客にも広げ、新たな時代の働き方を支援するという期待を示した。

 またGoogle Cloudでは、パートナー支援施策として2020年7月から「DX人材育成プログラム」の提供も開始することを発表している。ここでは人材育成のロードマップを規定し、ステップごとに必要なスキルを身につけられるトレーニングだけでなく、プロジェクトの組織化やプロジェクト推進で必要なキックオフセッション、ビジネス&カルチャートレーニング、コラボレーションセッションなどを実施するためのノウハウを提供する。

 「デジタル技術を活用した改革が求められるなか、技術に精通しながらDXプロジェクトをけん引できる人材の確保/育成が喫緊の経営課題という声がある。これまでの技術的なトレーニングだけでなく、ビジネストランスフォーメーションレイヤーでのトレーニングプログラムを新たに提供し、パートナーの成功を支援する」(高橋氏)

DXプロジェクトをリードできる人材育成のためのプログラムを提供開始する

 さらに、パートナーとのコミュニケーション強化策も用意している。これは製品/ソリューションに関する最新情報の提供、パートナーコミュニティ活性化によるパートナー/エンジニア同士の関係強化のほか、パートナーからの意見を聞いてGoogle Cloudを改善していく仕組みも強化するという。

 「パートナーとの深い協業により、エンタープライズユーザーに価値を提供したい。パートナーの業界知識と技術知識、Google Cloudの先進的技術の組み合わせで、ユニークなソリューションを構築し、パートナーが市場において差別化した価値を提供できるようにしたい」(高橋氏)

パートナーとのコミュニケーションも強化していく

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