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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第100回

アップルがもしiPhoneにSmart Connectorをつけたら

2020年06月09日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●アクセサリビジネス

 アップルのビジネスは現在、ハードウェア部門とサービス部門が存在し、ハードウェアにはiPhone、Mac、iPadといった主力製品に加えて、Wearable, Home, and Accessoriesという部門があります。

 このアクセサリにはケースやケーブル類、充電器なども含まれているわけですが、アップルはiPod以来、独自のポートを採用し続けてきたことで、このアクセサリビジネスを拡大させてきた経緯があります。

 iPodには当初、30-pinドックコネクタが搭載され、これはそのままiPhoneにも採用、充電やデータ転送を行うためのコネクタとして利用されてきました。この独自ポートはサードパーティーにもライセンスされ、iPodやiPhoneを直接立てるスピーカーなども人気がありました。

 しかしiPhone 5でドックコネクタを廃止し、より小型のLightningポートに変更され、現在に至ります。このコネクタの変更で何が起きたかというと、ユーザーが手元に持っていたあらゆるケーブルやアクセサリが利用できなくなったのです。

 アップルは一応、Dock-Lightningの変換アダプタを用意しましたが、iPhoneにケースをつけていれば変換アダプタが干渉し、Lightningがきちんとささらないという不便さに見舞われます。

 結局、サードパーティー製のケーブルが充実するまではアップルから純正のケーブルを2000円以上出して購入しなければならない事態が続きました。もちろん、これらはアップルにとって少なくない売上高への貢献となりました。

 コネクタの変更は、確かにテクノロジーとしては進化かもしれませんが、手元にあり充実させてきたアクセサリが一気に死蔵しかねない事態であり、ユーザーとしてはより慎重は判断を求めたいところです。ぜひ慎重な判断を!

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