ITXフォームファクターのPCを自作する際や、コンパクトなPCのアップグレードの手段として、サイズが短い、いわゆる短尺サイズのグラフィックスカードの需要は高い。
今回紹介するPower Colorの「RX5600XT ITX 6GB GDDR6」(型番:AXRX 5600XT IT 6GBD6-2DH、以下 RX5600XT ITX)もそうした製品で、長さが実測で174mm(※突起物除く)というコンパクトなサイズを実現した、Radeon RX 5600 XT(以下、RX 5600 XT)搭載モデルだ。
では、果たしてこのRX5600XT ITX 6GB GDDR6はどのような製品なのか。テストを通し、そのパフォーマンスを検証してみたい。
基板サイズは実測で174mm
ブーストクロックが1620MHzのクロックアップモデル
まずは、RX5600XT ITXの動作クロック設定から確認していこう。RX5600XT ITXのベースクロックは1355MHzで、ゲームクロックは1560MHz、ブーストクロックは1620MHzと、リファレンス比でゲームクロックが185MHz、ブーストクロックが60MHz引き上げられたクロックアップモデルとなっている。グラフィックスメモリにはGDDR6を6GB搭載し、メモリクロックはリファレンスの12Gbpsから14Gbpsへと向上している。
冒頭でも触れたようにRX5600XT ITXのカード長は174mmほどしかなく、これは同社のRadeon RX 5700を搭載の短尺カードとして人気の高い「RX5700 ITX 8GB GDDR6」とほぼ同じサイズと言っていい。外観は黒い小箱という感じで、GPUクーラーが全体を覆っている。そのGPUクーラーは2スロット占有タイプで、90mm角相当のファンを1基搭載する。 このファンは、GPUの温度が60℃以下になると回転を停止する「ミュートファンテクノロジー」を搭載する。
カードを横から覗き込むと、GPUクーラーには6mm径のヒートパイプが4本用いられているのが確認できる。また、メモリチップや電源部にもしっかりとヒートシンクが接する構造であることが見て取れる。なお、基板裏から察するに、電源部は8+1フェーズ構成のようだ。
補助電源コネクタは8ピン×1を備え、映像出力インターフェースはDisplayPort×2、HDMI×1という構成。基板面積の都合からか、インターフェースが3系統しか用意されていない点は注意したい。