B&W「607」と聞き比べ、音の違いも詳しく紹介
英国ブランドのコンパクトスピーカーを聴く、タンノイ「Platinum B6」
2020年05月01日 15時00分更新
ニュートラルで正確な描写の607
表情豊かで聴いていて楽しいPlatinum B6
B&W 607はニュートラルな音色で描写も正確。小さなサイズにも関わらず低音の伸びも優秀で音域が広い。ともすると生真面目な音になりがちなのだが、微小音から大きな音までの音圧的なダイナミックレンジが広く、反応も速いので、ダイナミックな力強さが出る。だから、正確でモニター調だが、つまらない音にはならない。
タンノイのPlatinum B6は、面白いくらい対照的で、ボーカルの情感がとても豊かだ。音色的にもややウォームな感触になるので、声の持つ温かみがよく伝わるし、歌詞に込めた情感が出る。低音感も量感の豊かな鳴り方で、低音の伸びに不満を感じるほどではなく、リッチで気持ちの良い低音になる。なにより、独特の響きがわずかに乗った鳴り方はライブを聴いているような感じで聴いていて楽しい。
それぞれの特徴をわかりやすくするための比較であり、優劣を付けるようなことはしないが、B&W 607はリファレンスとして使えるだけの高い能力を備えていることがよく確認できた。自分の好きな楽曲ですべての音を細かく聴き取りたいと思う人、あるいは自分でも楽器の演奏をする人があるパートの音を正確に聴くなど、モニタースピーカー的に使うならば、その意味でも高い実力を備えていると思う。
タンノイのPlatinum B6は、情報量や正確さでは607に及ばない面もあるが、聴いていて楽しいのは間違いなくこちらだ。自分が若い頃に聴いた当時のタンノイは、響きの付加というか音楽への積極的な味付けが強すぎると感じたが、Platinum B6を聴くと情報量や音の定位といった性能も優秀で、味付けも過度にならない絶妙なものになっており、実に魅力的だと感じた。仕事で使うのではなく趣味で使うのならばPlatinum B6を選ぶと思う。
同じイギリスのスピーカーでもこれだけの違いがある。だからスピーカー選びは楽しい。次回はリファレンスとして使うプリメインアンプを紹介するが、3回目以降はB&W 607をリファレンスにまた別のスピーカーを比較試聴していく。当初はなるべく新しいモデルをピックアップしていくつもりだが、いずれは定番となっているロングセラーモデルなども聴く予定。紹介してほしいスピーカーや試聴曲のリクエストがあれば、Twitterなどで知らせてもらえれば、なるべく応えていくつもりだ。
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