B&W「607」と聞き比べ、音の違いも詳しく紹介
英国ブランドのコンパクトスピーカーを聴く、タンノイ「Platinum B6」
2020年05月01日 15時00分更新
定番ブックシェルフと聞き比べて、音質傾向を把握
スピーカーの音の個性をわかりやすく伝えるため、この連載では、リファレンススピーカーと毎回異なるスピーカーの2つを試聴して、その違いを比較することにした。スピーカー自身も、初めての本格的オーディオシステムとして使いやすいコンパクトなサイズの2ウェイスピーカーを中心とする。基本的にはスピーカースタンドに設置するスタイルでの試聴を想定しているが、広いリビングに置くだけでなく、プライベートルームで使えるサイズのモデルがメインとし、価格はペアで10万円台前半に収まるくらいを想定している。
以後の比較試聴でも使用するリファレンススピーカーは、B&W 607(実売価格 7万7550円/ペア)とした。筆者の独断による決定だが、音質傾向もニュートラルで、情報量の豊かさや音場再現の広さ、良好な音像定位と、スピーカーを評価するさまざまな要素で高い実力を持ち、なおかつそれらの要素がバランスよく整った音であることが理由だ。人気の高いブランドのエントリークラスのモデルであり、オーディオ専門店だけでなく、大型量販店などでもよく展示されている有名モデルという点も理由だ。
●B&W 607
まずは、B&W 607の概要を紹介しよう。25mm口径のアルミニウムドーム・トゥイーターと、130mm口径のコンティニュアムコーン・ウーファーによる2ウェイ構成のモデルだ。サイズも横幅165mmとコンパクトで、ちょっと大きめの机ならばパソコンの両脇に置いて使うこともできるサイズだ。ちなみにコンティニュアムコーンは、上級シリーズの700シリーズや800シリーズでも採用されている新しい振動板素材。それまで同社が採用していたケブラー繊維の振動板にかわって採用されたもので、振動板の色もそれまでのケブラーの黄色から、銀色に変わったことで、以前のモデルとは随分印象も変わった。
[B&W 607の主なスペック]
●形式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型●インピーダンス:8Ω●再生周波数帯域:40Hz~33kHz(±6dB)●出力音圧レベル:84dB(2.83Vrms/1m)●サイズ:横幅165mm×高さ300mm×奥行207mm●質量:4.7kg(1本)
●タンノイ「Platinum B6」
比較試聴を行うスピーカーは、タンノイのPlatinum B6(実売価格 8万7120円/ペア)。イギリススピーカー対決だ。B&Wと同じイギリス製のスピーカーだ。イギリス製のスピーカーは日本でも人気が高く、数多くのブランドのモデルが発売されている。B&Wもタンノイもともに知名度の高いブランドだ。Platinumシリーズは今春発売された新しいシリーズで、モダンなデザインの採用が特徴的だ。
Platinum B6は、トゥイーターが25.4mm口径のシルクドーム、ウーファーは口径165mmのマルチファイバーペーパーコーン。伝統的なブックシェルフ型スピーカーのユニット構成となっている。ウーファーがやや大口径なので、607と比べるとサイズは一回り大きいが、横幅は230mmで大きすぎるということはない。エンクロージャーの下部を木目仕上げとしたデザインが印象的で、モダンさとオーソドックスな感触をうまく調和させたものとなっている。境目にある銀色のラインの部分に「TANNOY」のロゴがあしらわれているのもおしゃれだ。
タンノイ Platinum B6の主なスペック
●形式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型●インピーダンス:8Ω●再生周波数帯域:50Hz~20kHz(±6dB)●出力音圧レベル:86dB(1W/1m)●サイズ:横幅230mm×高さ360mm×奥行235mm●質量:6.6kg(1本)
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