最近の“平面磁界型ヘッドホン”隆盛の立役者でもある、HIFIMANの普及モデル「SUNDARA」の価格が、4月8日に改定されて3万4800円(税抜)となった。
古くから平面磁界型ヘッドホンに興味を持ってきたものとしては、この価格で平面磁界型ヘッドホンが購入できる状況には、感嘆を禁じえない。これを読まれている方も“平面磁界型ヘッドホン”“全面駆動型ヘッドホン”という言葉を聞いたことがあると思う。価格の高さからなかなか手が出ないが、興味はあると思っている方も多いと思うので、平面磁界型ヘッドホンについて簡単に説明していきたいと思う。
1. 平面磁界型ヘッドホンとは何か
平面磁界型とか全面駆動型などのさまざまな名前があるが、形式としては同じものを指している。ヘッドホンは振動板を動かして音を再生するが、その振動板全体で振動するタイプのヘッドホン設計を平面磁界型、または全面駆動型と呼んでいる。海外ではカジュアルにPlanar(プラナー、つまり平面のやつという意)とも呼ぶ。
平面型には大きく分けて、磁気で振動板を動かす“平面磁界型”と、静電力で振動板を動かす“静電型”に分けられる。後者の代表格は国産のSTAXである。ただしこのタイプは静電力を生むための特別なヘッドホンアンプ(STAXではドライバーと呼ぶ)が必要になる。
前者のタイプでは、特別なヘッドホンアンプを必要としないため、利便性が高く、いまでは一般に平面型というと、平面磁界型を指すことが多い。平面磁界型はアイソダイナミック(等磁力型)などとも呼ばれる。かつてのヤマハでは、オルソダイナミクス型、フォステクスではRP(レギュラーフェイズ)とも呼んでいる。
設計としては平たい振動板の大部分にコイルがめぐらされ、それをマグネットでサンドイッチしているものが多い。このコイルのパターン(文様)にも各社の創意工夫があって差別化ポイントになっている。例えばMEZEでは、周波数と耳の位置によって異なるパターンを採用し、フォステクスではジグザクのパターンで効率を高めている。
この連載の記事
-
第300回
AV
インド発の密閉型/静電式ヘッドホン? オーディオ勢力図の変化を感じた「INOX」 -
第299回
AV
夏のヘッドフォン祭 mini 2024レポート、突然のfinal新ヘッドホンに会場がわく! -
第298回
AV
ポタフェス2024冬の注目製品をチェック、佐々木喜洋 -
第297回
AV
なんか懐かしい気分、あなたのApple WatchをiPodにする「tinyPod」が登場 -
第296回
AV
逆相の音波で音漏れを防げる? 耳を塞がないヘッドホン「nwm ONE」──NTTソノリティ -
第295回
AV
NUARLのMEMS搭載完全ワイヤレス「Inovatör」(旧X878)の秘密とは? -
第294回
AV
AirPodsで使用者の動きからBPMを認識、それを何かに応用できる特許 -
第293回
AV
次世代AirPodsにはカメラが付くらしい、じゃあ何に使う?(ヒント:Vision Pro) -
第292回
AV
OTOTEN発、LinkPlayの多機能ネット再生機「WiiM」とSHANLINGの「EC Smart」を聴く -
第291回
AV
ビクターの新機軸、シルク配合振動板の魅力とは? HA-FX550Tを聴く -
第290回
AV
HDTracksがMQA技術を使ったストリーミング配信開始へ - この連載の一覧へ