固定電極が不要のシングルエンド駆動を実現した
SONOMA「Model One」
SONOMAの静電型ヘッドフォン「Model One」はHPELと呼ばれる新方式のトランスデューサを使った最初の製品である。
昨年発表され遂に2017年5月中旬に発売される予定である。平面駆動型で問題になっていた固定電極の間から音を出すという宿命から逃れて、シングルエンド(片側駆動)で振動板を動かす。HPELは振動板前面には固定電極がなく、背面にはステンレスメッシュのグリッドだけである。
振動板は分割振動を防ぐためにセルと呼ばれる蜂の巣状のフレームに貼り付けられ、個々のセル単位で異なる共振周波数を持たされ並列駆動することで、大きな共振の発生を抑えているという。
0.015mmの振動板は60kHzを超えるフラットな特性を持ち、左右のバラツキも±0.8dB以下に抑えられている。
このHPELを駆動するためには特別な設計のアンプが必要になりSONOMAはDAC内蔵の高電圧駆動アンプを開発。1350Vものバイアス電圧をかけている。アナログ入力もあるが、これはアンプ内部でデジタル化される。その音は確かに理屈通りで、平面駆動型の弱点だった力強い低音、厚みのある中域が再現され、全域で高解像度、ハイスピードな音である。これは従来の静電型のイメージを一新させる次世代のヘッドフォンと言える。

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