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松村太郎の「"it"トレンド」 第297回

リモートワークの「作法」と「気づかい」

2020年04月24日 09時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII

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●リモートワークの作法?

 同じようなことが、Zoomなどのビデオ会議や、チャットコミュニケーションのSlackにも起きつつあります。上司より先に会議を退出してはならない、上司にメンションを送っては失礼など、首を傾げるルールも少なくないのですが、見ていくと、コミュニケーションの効率化のための気づかいがルール化したり、変質したりしているように見受けられます。

 たとえばZoomの会議室退出の話。会議を主催する人は、最後の参加者が出るまでは会議室を維持するために残っていたほうが良いかもしれません。もちろん次のビデオ会議がある、会議を迅速に済ませる、などのポリシーがあれば、それは共有されているので「時間になったら切断する」ことを失礼だ、と目くじらを立てる人もいないはずです。

 また、Slackのメンションの話は、上司に限らず、必要なとき以外は通知を送らず、仕事を邪魔しないことはそもそも職場の配慮だったはずで、オンラインになったから急にじゃんじゃん通知を送っていいはずがありません。こちらもそもそもの本質を正せば、決しておかしな話ではないはずです。

 そうしたコミュニケーション効率化のためのTipsレベルのテクニックに、日本的な上司と部下の関係が織り交ぜられてマナーやルールのように流通し、あるいはそう自覚し、「できなければ失礼!」となってしまったのではないでしょうか。

●最近感じるTips集

 最近感じているリモートワークのTipsを2つほど共有したいと思います。これも謎のルール化、マナー化を目論んでいるのではなく、あくまでコミュニケーションや仕事の効率化、という観点からです。

●オンライン会議でしゃべらないときはミュート:

 おそらく多くの方が経験していると思いますが、これをするだけで会議の音声に雑音が入らなくなり、格段に聞き取りやすくなります。また常時マイクONでは静かにしなければならない、と行動が制限され緊張しますが、全員にとってハッピーな結果を生みます。ただし、しゃべるときはミュートを切ることをお忘れなく。

 それではせっかくのオンライン会議が沈黙で満たされる……という意見もあるかもしれませんが、そこは会議を主催するファシリテーターの役割であり、これは実際の会議室の中であっても同じはずです。

 ファシリテーターが議論の場を「回す」べく、参加者を指名して発言を求めるような立ち回りが必要で、これは訓練するしかなさそうです。

●文書化はチャットでも忘れずに:

 チャットでコミュニケーションを高速化しようという中、「重要事項はメールで」という声が消えないことにストレスを感じる人も少なくないかもしれません。ただ、理由を突き詰めると、チャットで足りない部分も見えてきます。

 たとえば、Slackの有料ワークスペースは、すべてのメッセージが検索可能になって保存されます。

 しかし、これは「情報が使える形で保存されている」とは言いがたいのです。メールの場合、1通ずつ情報の単位としてサーバにもローカルにも保存されるため、かろうじて使える形でのアーカイブになっているわけです。しかし、スピードと参加の点でチャットに劣るのも事実です。

 そもそも、その案件は誰が担当で、なぜチャットで議論したいのか?を考えると、担当者が情報をとりまとめて企画書なり報告書なりにまとめることが合理的であるとわかるはずです。

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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