2020年度は営業利益5倍を達成 新型コロナウイルスの影響は?
一方、同社が発表した2020年度(2019年3月~2020年2月)の業績は、売上高が前年比41.8%増の93億円、営業利益は477.7%増の7億2500万円、経常利益は294.8%増の7億6100万円、当期純利益は464.2%増の8億8000万円となった。
佐藤氏は、「受注が好調であり、営業利益は5倍に達するなど、期初業績予想に比べて大幅増の結果で着地した。素晴らしい1年だった」と総括。「19%の株式を持つサーバーワークスの株式価値が増加する一方、同時に株式に関する繰延税金負債が増加している。また、クラウドインテグレーション事業(ソリューション事業)は前年比41.1%増、製品事業は45.3%増といずれも高い売上げ成長を遂げている。製品事業では、大規模プロジェクトがいくつかあったため、導入時にかかる初期費用などの売上げが大きく伸びている」とした。
クラウド別の売上げ構成比では、Salesforceが69%、AWSが31%となっている。「Salesforce市場の好調を背景に同ビジネスの比率が増加。Salesforce関連の自社製品の販売も好調だった」とした。なお、社員数は1年間で約120人増員し、580人体制となった。
2021年度(2020年3月~2021年2月)の業績見通しは、売上高が前年比15.4%増の107億2800万円、営業利益は28.2%減の5億2000万円、経常利益は33.3%減の5億700万円、当期純利益は74.7%減の2億2200万円とした。
「毎年、期初の業績見通しはコンサバティブに設定しており、過去3年間は期初計画を上回っている。これは投資家にしっかりと約束できる数字である。今年度もこの数字を達成した上で、上振れできるようにがんばりたい。気持ちとしては、2020年度と同じぐらいの成長や利益をあげたい。減益要因は、積極的な人員採用を計画していること、タイの新会社や量子コンピュータ事業は、大きな赤字を出しながら市場を改革するフェーズであることが理由。量子コンピュータの子会社は、3年は黒字にはならないだろう。だが、これは将来の事業拡大に対する投資である。1桁台の安定成長を目指したり、利益確保にために人員採用をしないといった方向には舵を切らない。いまから手を打つことで、将来の大きな果実を手にしたい」とした。人員採用では、168人を新たに採用する計画で、社員数は748人にまで増加させる」(佐藤氏)
クラウドインテグレーション事業は前年比18%増、製品事業は前年比1%増の売上げを計画。「初期費用の分が見込めないために、製品事業全体では1%増に留まる。だが、製品事業におけるサブスクリプションのビジネスは伸びることになる」(佐藤氏)とした。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は業績見通しには織り込んでいないとしているが、「新たなプロジェクトが停止したり、開始が遅れたりといった影響は出ているものの、投資マインドが冷めているとは感じない。特、新たなビジネスを立ち上げて、新たな収益源を作るといったSoEの領域における投資には前向きな企業が多い。業界によっては厳しいところもあるが、大手企業には内部留保もあり、新型コロナウウイルスが終息した際に、スタートダッシュするために投資をしたいという傾向がみられている」などと述べた。