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コロナウイルス後のスタートダッシュのためにむしろ投資する傾向

3つのアセットを強化してクラウドインテグレーションを加速するテラスカイ

2020年04月22日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 2020年4月21日、クラウドインテグレーションを手がけるテラスカイは事業方針について説明会を開催した。テラスカイの佐藤秀哉社長は、「2021年度は、成長分野にチャレンジする1年になる。当社は15期目を迎えているが、まだまだ投資フェーズである。新たな分野で活躍し、成長のカーブをしっかりと上げていきたい」との考えを示した。まあ、「安定的高成長」、「品質の向上」、「成長分野へのチャレンジ」の3点を基本方針に掲げており、2021年度は3つめの柱を重点課題に掲げるという。

テラスカイ 佐藤秀哉社長

Salesforceからはじめ、AWS、Azure、GCPまで幅広く対応

 テラスカイは、創業時点ではSalesforce向け事業でスタート。2010年にSalesforce事業で培ったノウハウをもとに、自社製品を投入。2013年にはAWS事業に参入し、サーバーワークスとの資本提携も行なっている。2016年にはBeeXを設立し、SAPユーザーのクラウドへの移行支援事業を開始。継続的な成長を遂げている。現在では、Microsoft AzureおよびGoogle Cloud Platformに対応した事業も展開。「クラウドノウハウを活用した製品、サービスなどのアセットを生かしたビジネスを拡充していくことになる」(佐藤氏)。

 ここでは、複数の顧客が共通の課題を持つ領域において、それを解決する製品やサービスを提供する「ソリューションサービスアセット」および「プロダクトアセット」に加えて、今後の成長領域に投資をする「インベストメントアセット」の3つのアセットから、クラウドインテグレーションビジネスを加速する姿勢を示した。佐藤氏は、「SalesforceやAWS、Azureといったプラットフォームの特性を十分に理解した上で、顧客の気づきをマイクロサービス化し、API化によって利用できる環境を提供するのが当社のビジネスモデルになる」と述べた。

テラスカイのビジネスモデル

 ソリューションアセットでは、コンタクトセンターの問い合わせをチャットで受け付けて、それをSalesforceで処理し、LINEで返したり、ターゲティングした顧客に情報をLINEで配信することできる「OMLINE」や、コンタクトセンター向けの音声基盤を提供するTwilioとの協業により、自宅での運用を可能にできる例を紹介。プロダクトアセットでは、「現在、最も投資をしている製品」(佐藤氏)とする、さらにSalesforce上で稼働するグループウェア「mitoco」に触れ、「現在、3カ月間無償で利用できるキャンペーンを行なっており、在宅勤務のお役に立てればと考えている」とした。申し込み期間は、4月30日までとしている。

 一方で、インベストメントアセットでは、2019年3月に設立したCVCのテラスカイベンチャーズについて言及。2019年6月には、NTTコミュニケーションズと日本アジア投資ととともに、第1号ファンドとなるTSV1号投資事業有限責任組合を設立し、2社に投資を行っていることを示した。

 また、2019年6月には量子コンピュータによる課題解決を目指す子会社としてQuemixを設立。「量子コンピュータを利用するアルゴリズムを開発し、顧客のビジネスに貢献していくことになる。さまざまなR&Dへの参加、大学との共同研究のほか、アニーラ方式においては、組み合わせ最適解に向けたアルゴリズムの開発を行なっていく」とした。

 2019年12月には、米国法人に続き、同社2番目の海外法人となる「TerraSky(Thailand)Co.,Ltd.」をタイに設立したこと示し、「アジアは成長市場であり、現地において、Salesforceのエンジニアを採用、育成していくことになる」とした。だが、「新型コロナウイルスの影響もあり、現地に行くことができず、タイからも来ることができないという状況にある。当初計画よりは遅れているが、その遅れにより、今年度は予想していたよりも赤字幅は減る見込みである」とした。

 さらに2025年の崖の解決に向けて、DX Readyへの取り組みを開始していることを示しながら、SAP関連ビジネスを展開しているBeeXについて説明。「BeeXは、SAPのクラウド移行支援を行う企業としては有数の実績を持つようになってきた。BeeXの支援によって、多くの企業がSAPによる基幹システムをクラウドに移行している。京阪ホールディングスはSAPをAWSに移行した事例となるが、Azureへの移行例のほか、日本初となるGCPへの移行事例も近々発表できる」とした。

DX Readyへの壁

、佐藤氏は、「国内パブリッククラウドの市場は2桁成長を遂げており、その勢いはまだ続くとみている。当社が主力としているSalesforceは年平均成長率30%、AWSは同42%とまだ急成長を続けている。テラスカイは、こうした成長分野のなかでビジネスを行っており、金融や保険、医療、サービスなど、大企業を中心に1400社に導入し、4500件以上のプロジェクトに取り組んできた実績を持つ。日本でもっとも多くのSalesforce認定技術者を擁しているのがテラスカイである」などと述べた。

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