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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第31回

ホンダ「S660」のマイナーチェンジ版は5年分の進化を感じさせる仕上がり

2020年04月09日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) モデル●美環(@puritendon) 車両協力●ホンダ

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クルマを運転する楽しみがわかった美環さん

 試乗は奥多摩周遊道路と、その周辺で行ないました。試乗前に初心者マークをペタリと貼る美環さん。道路交通法によると、免許取得後1年間は初心者マークを掲示する義務があります。なお違反すると「初心運転者標識表示義務違反」として、違反点数1点と反則金4000円が課せられます。ちなみに、初心者マーク表示義務のドライバーに対して幅寄せや割り込みなどの行為は「初心運転者等保護義務違反」で、違反点数1点と反則金6000円(普通車の場合)。初心者マークがついたクルマを見かけた方は、暖かい目で見守りましょう。

運転中の美環さん

 走りだすと「慣れるまで時間がかかりそうです」と困惑する美環さん。「何もかもが今までのクルマとは違います。とにかく視界が低くて前が見づらいです」と、S660特有の世界に混乱している様子。さらに彼女が想像しているよりもハンドルが内側に切れ込むようで、時折修正舵を入れながら、次から次へと現れるコーナーを処理していく美環さん。「クルマが小さいのか、ミッドシップだからなのかわからないですが、クルマが思ったより小回りが利くというか、何というか」と懸命にハンドル操作をします。

下り坂を攻める(?)美環さん

 いっぽうで「栗原さんいつも飛ばすから速いクルマだと思っていたんですけれど……結構アクセルを踏まないと速くないんですね。逆に言えばちょっと踏んでバビューンという車ではないですから、その意味では安心できます。あとブレーキがちょんと踏んだだけで結構強く効きますね」と、法定速度以下でのんびり、でありながら懸命に車をコントロールしようとする美環さん。

 ですが、次第に二の腕に痛みが。どうやら背もたれ部分を調整せずに運転していたため、肩が背もたれと接しておらず上体をハンドルで支えるような走り方をしていた模様。そこで背もたれを起こして再度挑戦すると「あ、全然違う! お友達になれそう」と一気に笑顔へ。シートポジションの重要性を改めて感じるとともに、「シートの前後は移動できるのは知っていましたが、背もたれも動かせるとは思わなくて。調整する場所が狭くてわかりづらいんです」とちょっとした苦言も。車に慣れていない方に運転をお願いする場合は、もっとしっかりチェックするべきだったと反省した次第。

走行距離331kmにも及ぶ試乗取材! 満タンだったガソリンも空っぽになりました

 残念ながら美環さんは重度の花粉症を患っていること、そして撮影前で髪の毛が乱れる可能性があったためルーフを外してのオープンドライブはほとんど体験しておりませんが、再試乗を含めて実に300km以上の走り込みを行なうロングランな試乗となりました。「今まで乗った車とは全然違っていて、思い通りというか、思い通りでないというか……。このクルマの面白さがなんとなくわかった気がします。ちょっとだけクルマとお友達になれそうな感触がありました」と乗り終わった美環さんには充実した笑顔が。

「S660って楽しいですね!」と美環さん

 「クルマが小さくて私にピッタリですね。荷物のことは頭によぎらないわけではないですが、独りや隣に女の子が乗った状態で運転するには、最高のクルマかもしれません。運転そのものや、運転しながら景色を楽しむという余裕は今の私にはまだありませんけど、S660で走ったら楽しいだろうなぁというのはとても伝わりました。機会があれば、また乗ってみたいですね。あとマニュアル車にも挑戦してみたい」という美環さん。ぜひぜひ! 「1台目にはちょっと……と思っちゃいますが、車の運転をとことん楽しませてくれるから、2台目にいいかもです」

【まとめ】日本に住んでよかったと思える日本のクルマ

 「デザインの深化」という話でマイナーチェンジモデルを取材しましたが、結果として思ったのは5年に渡るS660の成熟を感じた次第。それは祝いのワインであるボジョレーヌーボーが、5年かけて味わいを楽しむワインへと熟成に似たものを感じると共に、今後はヴィンテージとしてさらなる進化を予感させるものでした。

日本にピッタリサイズの日本のスポーツカー「S660」

 そんな成熟したS660は、運転に慣れていない人でも「クルマって面白いかも」と思わせる説得力を与えることを美環さんを通して改めて感じた次第。なにより取材の最後の方は、満面の笑みでステアリングを握る彼女の横顔を見るに「S660はもっとも笑顔が似合うスポーツカー」であることを、改めて思わせるものでした。そんなS660は日本でしか販売していない、日本にピッタリのスポーツカー。初夏を迎えてオープンカードライブには気持ちのよい季節。四季と笑顔を感じるスポーツカーをぜひ!

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