このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第556回

計測器部門をAgilentとして独立させたHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2020年03月30日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

収益性の低い半導体部門を独立させ
計測をメインに据える

 さて2004年までの財務状況は下表の通りである。2003年はまだITバブルの余波が残っていたためか、低調ではある。といっても売上そのものは僅かながら持ち直している。

Semiconductor Products部門の業績(単位:ドル)
年度 売上 営業利益 純利益 部門別売上
Test&
Measurement
Automated
test
Semiconductor
Products
Chemical
analysis/
Life Science
2003年 60億5600万 -7億2500万 -20億5800万 25億2900万 7億5500万 15億8600万 11億8600万
2004年 71億8100万 3億8600万 3億4900万 29億300万 9億2400万 20億2100万 13億3300万

 営業利益が妙に低いのは、この年に10億ドル相当の税効果引当金が計上されているためで、営業利益が猛烈な赤字になっている格好だ。これもあって2004年には売上そのものがすべての部門で伸びるとともに黒字化も果たしている。

 次の事業変革は2005年に発生した。この年、AgilentはSemiconductor Products部門を独立させることを決定する。背景にあるのは、計測をメインに据える同社と半導体製造がマッチしなくなりつつあることと、同部門の低い収益性である。

 2002~2004年の業績は下表のとおりで、2002/2003年はともかくとして、2004年も営業利益率はわずかに8%でしかない。

Semiconductor Products部門の業績(単位:ドル)
年度 売上 営業利益
2002年 15億5900万 -1億1500万
2003年 15億8600万 -5900万
2004年 20億2100万 1億6600万

 もっとも2004年の年次報告によれば2004年度のROIC(投下資本利益率)は17%にも達しており、これはTest and Measurementの8%やAutomated Testの6%に比べてずっと高く、適切に投資を行なえばよりビジネスが改善する見込みは高いと思われた。

 問題は、計測をメインとするAgilentがそこまで投資をすべきか? という話であり、その意味では分社化は適切な方策だったと思われる。

 最終的にSemiconductor Products部門はAvago Technologiesとして独立する。当初はKKRとSilver Lake Partnersという2社のファンドにより買収され(買収総額は26億ドル)、まずは非上場企業として成立。2009年に上場を果たしている。

 このAvagoの話は別にするとして、Semiconductor Productsを外に出したことで、Agilentは再び事業部門を再編。大きくProducts部門とServices部門に分割された。

 Products部門はElectronic MeasurementとBio-analytical Measurement、Semiconductor test solutionsの3本柱からなり、Servicesは機器のインストールや保証サービスなどをまとめて担う形に改編されている。

 ちなみにこの年、Barnholt氏は辞任。後任にはCOOを務めていたWilliam P. Sullivan氏がそのまま昇格した

Sullivan氏はこの後10年、Agilentを率いることになる

 まずその2005年から2012年までの財務状況をまとめたのが下表である。2009年のみ猛烈に業績が落ちているが、これはリーマンショックの影響である。この年、同社は従業員の14%にあたる2700人を解雇するなどかなり苦しい局面を迎えていた。

Agilentの業績(単位:ドル)
年度 売上 営業利益 純利益 部門別売上
Products Services&others
2005年 51億3900万 18億100万 3億2700万 42億700万 9億3200万
2006年 49億7300万 14億3700万 3億30700万 41億2500万 8億4800万
2007年 54億2000万 6億3800万 6億3800万 45億500万 9億1500万
2008年 57億7400万 7億9500万 6億9300万 48億400万 9億7000万
2009年 44億8100万 -3100万 -3100万 35億6600万 9億1500万
2010年 54億4400万 6億8400万 6億8400万 44億6400万 9億8000万
2011年 66億1500万 10億3200万 10億1200万 54億8200万 11億3300万
2012年 68億5800万 11億1900万 11億5300万 56億5900万 11億9900万

 ただ落ち込んだのはProducts部門で、Servicesはほとんど影響がないあたりが同社の強みでもあり、不況が一段落すると同社の業績もまた回復することになった。(続く)

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン