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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第556回

計測器部門をAgilentとして独立させたHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2020年03月30日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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 久々に業界に多大な影響を与えた現存メーカー HP編の続きを進めよう。といっても、連載552回まででHPおよびHPEの話はほぼ終わっているので、今回はHPから独立したAgilentの話をしよう。

コンピューターとプリンター以外の
全部門を分社化

 533回の最後で書いた通り、1999年にHPはコンピューターとプリンター以外の全部門をAgilent Technologiesとしてまず分社化、2000年には株式売却を行なったことで、完全に別会社になる。

 当初Agilentを率いたのは、もともと1998年からHPのMeasurementのトップを務めていたEdward W. Barnholt氏である。

2005年までCEOを務めたEdward W.Barnholt氏。現在はプリント基板製造のKLTA-Tencor会長を務めている

 そのAgilent Technologiesは、1999年の年次報告を見ると大きく4つの部門に分かれている。

Agilent Technologiesの各部門
部門 概要
Test and measurement さまざまなテスト/計測装置を扱う。対象マーケットは広範であるが、主に電話会社やインターネット/携帯電話プロバイダーを含む通信サービス業、半導体製造企業や電子回路製造業でリーダーシップを取れているとしている。また製品/サービスとしてはネットワークアナライザーやスペクトルアナライザー、有線/無線の通信機器テスト装置、プリント基板の回路内テストとX線解析、光通信関連テスト装置、ロジックアナライザーおよび信号発生器、高速動作CAE(Computer Aided Engineering:回路などの設計をするCAD)やシミュレーションソフトウェアなどが挙げられている。1999年10月時点で18000人がこの部門に所属していた。
Semiconductor products 名前の通り半導体製品の製造で、具体的には光ファイバーを利用した通信関係製品と、高速LAN向け製品、ストレージ向け製品、ミリ波を含む無線向けディスクリート製品、赤外線通信向け製品、ワークステーション/サーバーおよびプリンター向けASIC、ディスプレー/印刷向けLED、撮像素子(当時なのでおそらくCCDのイメージセンサー)あたりが挙がっている。それこそPA-RISCにしても、一番最後はIBMやインテルなどの工場で製造されていたが、その前は自社で製造していたわけで、この製造部門がそのまままとめてSemiconductor productsに来たことになる。1999年10月時点でおよそ9000製品を抱えており、従業員は1万100名、11のデザインセンターと8つの製造拠点が全世界にあった。
Healthcare solutions 医療施設(病院、診療所など)向けの診断装置や分析装置などを手掛ける。ラインナップとしては患者モニタリング、超音波診断装置、循環器系装置などが挙げられている。従業員数4700名。
Chemical analysis これも文字通り化学分析系の製品を扱っている。主要な製品は炭化水素処理系(ガスの成分分析など)の測定装置や環境測定(大気汚染や土壌汚染、水質検査など)、それと医療系(新薬の臨床試験などに利用されるもの)の3つが挙げられている。従業員は3600名ほどで、全世界に製造拠点が4ヵ所、マーケットセンターが3ヵ所存在する。

 これとは別にAgilent Tectnology Laboratoriesという研究所が存在する。こちらはもともとHP Laboratoriesから、やはり関係する部門を切り出した形になっている。1999年10月当時、500名の人員が在籍。うち研究職が300名ほどで、半分が博士号保有者となっていた。

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