インテル Xeon-SP搭載で25%の高速化、さらに全モデルでNVMe DirectFlashモジュールに対応
ピュア・ストレージ、“フルNVMe”最新版「FlashArray//X R3」発表
2020年03月26日 07時00分更新
ピュア・ストレージ・ジャパンは2020年3月24日、NVMe/NVMe-oF対応オールフラッシュアレイの最新版「FlashArray//X R3」を発表した。2017年から提供する“フルNVM対応”フラッシュアレイの第3世代に当たる同製品では、コントローラーにインテルのXeon-SP(Scalable Processors)を搭載して高速化を図り、すべてのモデルが「100% NVMe」かつ「100%ソフトウェアドリブン」である点をアピールしている。
“フルNVMe”化で高いパフォーマンスとストレージ効率を実現
FlashArray//X R3は、ストレージアレイを構成するフラッシュモジュールまでNVMeに対応した“フルNVMe”オールフラッシュアレイシリーズの最新版だ。
3Uシャーシで最大実効容量73TBのエントリーモデル「FlashArray//X10」から、最大実効容量3.3PBのハイエンドモデル「FlashArray//X90」まで5モデルをラインアップし、さらに最大実効容量1.9PBのDirectFlashシェルフも用意する。上位モデルのFlashArray//X70およびX90では、「Intel Optane」を搭載したストレージクラスメモリ(SCM)に対応しており、空きスロットにSCMモジュールを追加するだけで、自動的にキャッシングを開始する。
ピュア・ストレージ・ジャパンの岩本知博氏は、FlashArray//Xシリーズのこれまでの進化を次のように説明した。
「//Xシリーズの第1世代(R1)では、ストレージOSであるPurityがフラッシュモジュール上のNANDチップを直接コントロールした。続く2018年のR2では、エントリーモデルからハイエンドモデルまでをNVMe対応とした。そして今回のR3では、コントローラーに最新のインテルCPUを採用したことで、およそ25%の性能向上を実現。加えて全モデルでNVMe対応としている」(岩本氏)
コントローラーへのIntel-SPの採用により、SAP HANAやOracle Database、Microsoft SQL Serverなどのエンタープライズアプリケーションのパフォーマンスを高速化。さらにPostgre SQLやMySQLなどでも、DAS(サーバー内蔵ストレージ)比で高速化し、効率化による投入時間の短縮化も期待できるとしている。同社によるテストでは、MySQLがDAS比で35%のレイテンシ削減と最大50%の高速化、またPostgreSQLがDAS比で12%のレイテンシ削減と最大20%の高速化を実現したという。
また、今回の説明で特に強調されたのが、全モデルがNVMe対応となったメリットだ。
「NVMeのSSD(DirectFlashモジュール)であれば、1本あたりの性能がより高まるだけでなく、Purity OSがNANDレベルまでコントロール可能なのでオーバーヘッドがなくなる。ピュア・ストレージではフラッシュモジュールを自社生産し、SSDレイヤのオーバープロビジョニングをゼロにする一方で、ストレージレイヤのPurityで20%のオーバープロビジョニングを行っている。これにより、より効率の高い容量管理や書き込み方、ガベージコレクションを実現している」(岩本氏)
「エバーグリーン・ストレージ・モデル」により継続的な利用を
この新製品でも、もちろんピュア・ストレージ独自の特徴である「エバーグリーン・ストレージ・モデル」が適用される。岩本氏は、たとえば「3年前にFlashArray//M R2を導入したユーザーが、無償で(追加コストなしで)今回の最新コントローラーに交換することができ、およそ50%のパフォーマンス向上を享受できる」と説明する。
「しかも、すべて無停止でのアップグレードが可能。(新環境への移行中も)ダウンタイムなし、パフォーマンス劣化なしの環境を実現する。数日間、数週間かかっていたデータ移行作業がランチに行っている間に終わる」(岩本氏)
エバーグリーン・ストレージ・モデルでは現在、契約時の保守費を維持し、すべての契約更改に当時の価格を適用することで、導入後の年数が経過しても低コストを維持できる「フラット&フェア」、3年ごとの契約更改時に最新コントローラーを無償提供し、常に最新の技術と性能を追加コストなしで使い続けられる「フリー・エブリ・スリー」、ハードウェア/ソフトウェアを障害発生前に交換することで、フラッシュデバイスにまつわる懸念を極小化できる「フォーエバー・メンテナンス」といったサービスを用意している。
「これにより、ストレージ容量や密度、性能、機能を必要に応じてアップグレード可能にする。ダウンタイムやデータ移行(によるデータ喪失)のリスクも排除しながら、後継モデルへの継続的なアップグレードが可能で、老朽化を心配することなく10年以上にわたって利用できる」(岩本氏)
長期にわたる継続利用を前提としたシャーシも提供している。現行のシャーシではSAS、SATA、NVMe、SCMに対応し、異なる容量やサイズの混在、また従来型SSDとDirectFlashモジュールの混在にも対応している。岩本氏は、かつて2015年に新しいシャーシへの変更を行ったが、その際には継続的に利用できる環境を提供したことを紹介し、今後もシャーシの変更が必要となった場合には移行措置をとると述べる。
さらに、3年ごとに最新ストレージを利用できる「フォーエバー・フラッシュ」プログラムについても説明した。ユーザー企業であるソニー ネットワークコミュニケーションズでは、同プログラムを活用して無償で最新コントローラーに更新。そこで削減できたリプレース予算でフラッシュアレイを増設し、パフォーマンスを向上させながら30%以上のコスト削減を実現したという。