Renoirのダイサイズを考察
8コアで42平方mmほどの面積か?
さて、発表会の資料はこの程度であるが、もう少し内部を解析しよう。まずはダイサイズについて。本間文氏のレポートの中でパッケージ写真が示されていたが、やや画像サイズが小さい。そこで本間氏にお願いしてオリジナル画像を送ってもらい、トリミングとサイズ補正を施したのがこちらである。
一方、Raven Ridge世代(のES品)のパッケージは連載412回で紹介している。仮に両方のパッケージのサイズが同じだとすると(見た限りでは同じFP5に見える)、RenoirのダイサイズはRaven Ridgeの66.7%ほどのサイズになると推定される。これは画像内のパッケージサイズとダイサイズの比からの類推である。
Raven Ridgeのダイサイズが209.78mm2とされるので、ここからRenoirのダイサイズは139.9mm2ほど。おおむね140mm2と推定される。
さて、この数字は正しいだろうか? 逆に内部のブロックサイズを推定してみたい。AMDは現時点でZen2ベースのダイの内部写真を公開していないが、Fritzchens Fritz氏がWikimediaにRyzen 5 3600のダイの表面を剥離させた写真をパブリックドメインとして公開しているので、ありがたくこれを使わせていただくことにした。
画像を変形させて、真上から見た形にしたのが下の画像である。
内部を見ると、左上のブロックは下の画像のようになっていると思われる。
Zen 2(既存のRyzen 4000シリーズ)の場合、3次キャッシュ容量がCCXあたり16MBになっている。つまり1コアあたり4MB相当になるわけだが、Renoirの場合は1コアあたり1MB、CCXあたり4MBまで3次キャッシュが削減されている計算になる。
となると、Renoirの1コアあたりのレイアウトは画像の下側のようになると思われる。Matisseのダイサイズは74mm2と発表されており、画像サイズの比率から推定すると、Renoirでは1コア(+1MB L3)あたり5.25mm2ほど。これが8コアで42mm2ほどの面積になると推定される。
この連載の記事
-
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ