Ryzen 4000シリーズは
45WのSKUが提供される
加えてAMDは、新しく45WのSKUも提供することを明らかにした。こちらはゲーミングノートや、NUCなどでもそれなりに使えそうな消費電力枠である。ただゲーミングノート向け(=ディスクリートGPUを組み合わせるのが前提)がメインのようで、GPUは7CUに削減されているのがやや興味深い。
実際性能評価も、ディスクリートGPUを組み合わせることを前提に3DMark FireStrikeのPhysics Testの結果が示されているあたりがこれを物語っている。
CineBenchの結果が下の画像だが、Ryzen 7 4800Hでベース2.9GHz/ブースト4.2GHzで、これはCore i9-9750Hのベース2.6GHz/最大ターボ4.5GHzとそれほど大きな差がない。
これもあって、シングルスレッド性能はあまり大きな差はない。逆にマルチスレッドでは当然アドバンテージがある。ゲーミング性能は特に示されていないが、これはディスクリートGPUを使うのが前提だからだろう。
そのディスクリートGPUについては、今回AMD SmartShiftが発表された。
ただしこれは最低限、ディスクリートGPUにはVegaないしNaviが必須になる。ただ旧来のRadeon RX Vega Mobileに本当にこの機能が実装されているのかは不明である(そのうち関係者に確認せねば)
もともとRyzenおよびVega以降のGPUに関しては、内部の制御はすべてInfinityFabricを利用している。 InfinityFabricにはControl FabricとData Fabricがあるが、このControl Fabric経由で細かな動作周波数や電圧などを調整している格好だ。
RyzenのPrecision Boostなどもやはりこれを利用している。さて、CPU+ディスクリートGPUを利用する場合、それぞれのControl FabricはCPU内部およびディスクリートGPU内部で閉じてしまっているから、トータルでの電力制御ではなく、それぞれ個別に制御される。
しかしながらノートPCの場合は供給電力も放熱能力も限られるため、トータルで制御される方が望ましい。そこで、外部(おそらくPCI Expressレーン)を利用して両方のControl Fabricの連携を取ることで、システム全体としての電力制御が可能になるという仕組みだ。
これを使うことで、例えばCPU負荷が高い時はディスクリートGPUの動作周波数を下げ、逆にディスクリートGPUがフルに駆動するときはCPU側の動作周波数を下げるといった形で、CPU+ディスクリートGPU全体での消費電力を一定枠内に収めることが容易に可能になるというものだ。

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