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香りのスタートアップなどが横浜の大企業にプレゼン合戦

「スタートアップと大企業クロスピッチ 新規事業の本気トーク」レポート

特集
ASCII STARTUP イベントピックアップ

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 10月25日、横浜ガジェットまつり2019のトークイベント「スタートアップと大企業クロスピッチ 新規事業の本気トーク」が「資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK)」で開催された。10月31日に開設された関内のベンチャー拠点「YOXO BOX(よくぞボックス)」は、エンジニアや起業家の人材交流の場としての活用が期待されている。トークイベントでは、京急、資生堂、富士ゼロックスといった横浜に拠点を置く大手企業とスタートアップの起業家が、お互いのイノベーション施策や技術、サービスを語るプレゼン合戦が行なわれた。

 スタートアップ側の登壇者は、株式会社コレッド代表取締役 中里 智章氏、株式会社CODE Meee代表取締役の太田 賢司氏、株式会社テクノラボ 代表取締役社長の林 光邦氏の3名。対する大企業側は、株式会社資生堂R&D戦略部 R&D戦略Gマネージャーの中西 裕子氏、京浜急行電鉄株式会社 新規事業企画室の橋本 雄太氏、富士ゼロックス株式会社 AIS事業本部シニアコンサルタントの堀内 一永氏の3名が登壇。モデレーターはASCII STARTUPのガチ鈴木が務めた。

研究室の閉じた世界から、生活者目線の商品開発へ

 最初の登壇者は、株式会社資生堂R&D戦略部 R&D戦略Gマネージャーの中西 裕子氏。

株式会社資生堂R&D戦略部 R&D戦略G 中西 裕子マネージャー

 資生堂では、「ビューティーイノベーションでよりよい世界を」をミッションに掲げ、多様化する美の価値観、ニーズを捉えて、人々に自信と勇気を与え、喜びや幸せをもたらすイノベーションに挑戦している。

 こうしたイノベーションを起こす拠点として、資生堂の研究施設「資生堂グローバルイノベーションセンター」を横浜みなとみらいに移転したのは3つの狙いがある。1つは、世界市場への展開。2つ目は生活者との共創。3つ目はファッション・トレンドに触れることだ。そのため、郊外の研究施設ではなく、商業・文化が集まり、生活者との接点が多い横浜みなとみらいが選ばれたという。

 その研究拠点で開始されたオープンイノベーションのプログラム「fibona(フィボナ)」は、1)スタートアップ企業とのコラボレーション、2)生活者とのコラボレーション、3)スピード感のあるβ版の市場投入、そして4)新たな研究風土醸成の4つのテーマに取り組んでいる。

スタートアップとの共創も活動の1つのテーマであるオープンイノベーションプログラム「fibona(フィボナ)」を実施

移動インフラから生活者のニーズに応える、
京急のオープンイノベーション

 2番目の登壇企業は、京浜急行電鉄株式会社の橋本 雄太氏。

京浜急行電鉄株式会社 新規事業企画室 橋本 雄太氏

 京急グループでは、交通事業を軸として、不動産、リテール、レジャーなどの事業を展開しているが、少子高齢化やデジタルテクノロジーの発展によるビジネス環境の複雑化で、従来の鉄道会社のビジネスモデルでは対応が難しくなってきている。

 そこで京急グループでは、「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」をビジョンに掲げて、オープンイノベーションを進めている。具体的には、京急の持つ鉄道インフラをはじめとするリアルなアセットと顧客接点を活かし、ユーザーである生活者の多様なニーズに合わせてスタートアップとともに新しいサービスやコンテンツを開発することだ。

 オープンイノベーションへの取り組みとして、スタートアップとの事業共創プログラム「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」を2017年から2期に渡り実施し、昨年度は遊休ヘリコプターのシェアリングサービスや観光客向けのAIチャットボットなど、5件のスタートアップを採択し、沿線における社会実装を進めている。また、オープンイノベーション拠点として「AND ON SHINAGAWA」を開設し、スタートアップのみならず、大企業などとの交流を進めている。

京急のオープンイノベーション戦略として、アクセラレータープログラムの実施、イノベーション拠点「AND ON SHINAGAWA」の開設、投資(CVC)事業などを展開

スタートアップとの企画段階からの議論で事業価値はより高められる

 3社目の富士ゼロックス株式会社 堀内 一永氏は、大企業のコンサルティングをしている立場から「共創に期待すること」をテーマに、スタートアップは大企業の資産をどのように活用してくべきかを解説した。

 富士ゼロックスでは、働きやすい環境をつくるためのコンサルティング事業を展開している。社会的なイノベーション経営の加速は、リーマンショック後の2008年頃から始まり、企業による価値創造から、顧客の声を聞きながらサービスをつくることが求められるようになった。

 さらに2014年以降、消費サイクルの短命化、グローバル化、消費者ニーズの多様化などにより、従来の大量生産、自前主義の経営では立ち行かなくなったことが、大企業がオープンイノベーションを必要としている理由だ。スタートアップは、こうした大企業側の視点に立つことが大企業の経営資源をうまく使うポイントになりそうだ。

富士ゼロックス株式会社 AIS事業本部シニアコンサルタント 堀内 一永氏

 ビジネスは、従来のPDCAアプローチから、探索的に結果を見出すOODA(Orient、Observe、Decide、Act)アプローチへと移行しつつあるが、大企業では、社員の知識や経験、関係性の不足、既存事業との両立、リスクや失敗への寛容性、組織評価やマネジメントの違いなどから、適応が難しい。スタートアップとの共創で特に堀内氏が期待しているのは、OODAのObserve→Orientの部分だ。大企業内の社員とスタートアップが対等な関係で知識や経験を補い合うことで、よりインパクトのある魅力的な事業の企画を実現できるのではないか、と提案した。

大企業は、PDCAからOODAアプローチへの移行が難しい

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