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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第72回

工場視察時には「別の顔」も見せた:

アップル ティム・クックCEO来日の真意は

2019年12月12日 16時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

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●病院を訪れた理由はヘルスケア

 ワールドツアーをしている星野源氏とは居酒屋で会い、東宝では2021年公開の「シン・ウルトラマン」で監督を務める樋口真嗣氏と面会しました。音楽、映画といった、アップルのサービス部門に関係するコンテンツを作り出すクリエイターと積極的に会っている点は、サービス部門の成長をクリエイターとともに実現したいという意向が透けてきます。

 病院はさらに重要です。規制が厳しい医療や健康に関する行政において、アップルが積極的にコミュニケーションを取り、事実を積み上げていく戦略を取っていると考えられます。昨年から日本でも販売されているApple Watchには、米国などと同様に、心電図を計測できるセンサーが内蔵されています。しかしソフトウェア的に使用できなくなっており、健康に関する機能と認可の関係の難しさがうかがえます。

 アップルは病院の医学研究向けの開発キット「ResearchKit」を用意しており、米国では心臓疾患のリサーチの成果を挙げています。糖尿病や聴覚、女性の健康についても、今後取り組まれるでしょう。加えて、「CareKit」は病院と患者をつなぐ、遠隔医療も含むアプリ構築ができ、病院のサービスにモバイルを介在させることができるようになります。

 米国は医療や保険の大きすぎるコストを軽減するという社会全体の共通課題が存在していますが、日本は皆保険のためにそうした意識が共有されていません。根源的なインセンティブがない日本で、いかにアップルが医療方面を攻めていくのか、気になるところです。

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