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T教授の「戦略的衝動買い」 第560回

Bluetooth機能付きCDプレーヤー「BCPLAY_」を衝動買いしたが……

2019年12月13日 12時15分更新

文● T教授、撮影●T教授、編集●ASCII

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サポートセンターや蔦屋家電エンタープライズと何度かメールのやり取りをして図①、図②、図③のようなことがわかった。もちろん筆者の目は点になったのは言うまでもない。取説に記述されている6時間はあくまでBTRモードと呼ばれているBCPLAYがスマホやデジタルオーディオプレーヤーから音楽データの送信を受けて受診するだけのモードらしい

商品紹介に登場する「読書しながら音楽を聴くお兄さん」はあくまでもイメージ!?

 サポートセンターからの返信は、極めて迷いのないスッキリしたものだった。まずBCPLAYの取説に記載されている6時間再生というのは、BTR(Bluetooth受信)モードでの再生時間で、スマホやデジタルオーディオプレーヤーを発信元としてBCPLAYとBluetooth接続した場合の再生時間だということだった。状況的にはスピーカーやヘッドフォンはBCPLAYと有線ケーブルで接続されている状況を指すものだ(図①)。

筆者のやりたかったBluetoothスピーカー(IA-BT7)との無線接続CD再生は取説には記載の無い【BTEモード】と呼ばれるものらしく、その再生時間はなんと45分だそうだ。対象がスピーカーでなくBluetooth対応ヘッドフォンやイヤフォンでも同様だ

 一方、筆者が行ったBCPLAYを発信元としてIA-BT7とBluetooth接続する使い方は、取説にはモードとして明確に定義されていないが「BTEモード」というもので、その場合には再生時間は45分くらいになってしまうとのことだ(図②)。なので、再生機器の終端がスピーカーであろうと、ヘッドフォンであろうと、BCPLAYが送信側になる場合は著しくバッテリーを消費するらしい。

 思わず、大阪弁で「知らんがなぁ〜」と言いたくなるのを我慢して、メールを最後まで読んでみると、そういうご不満のあるお客様には、「バッテリーの無料アップグレード」をしてくれるらしい。加えて、次回(次のロット?)以降は、取説にもモードごとの再生時間を記述したいとのことであった。

筆者のBCPLAYは公式には非公開の無償バッテリーアップグレードサービスのお陰で、内蔵バッテリーは出荷時の1000mAhから4倍の4000mAhに増大され、BTEモードとかでも45分再生から230分再生の約5倍になった。泣き寝入りのユーザーさんが居なければ良いが

 バッテリーのアップグレードは、現在1000mAhの内蔵バッテリーを4倍の4000mAhに無料で交換してくれるという。この作業で、充電時間が当初の3時間からどのくらいになったか余り覚えていないが、再生時間は以前の45分前後から約5倍の230分(実測)になった(図③)。戻ってきたBCPLAYをキッチンはかりで測ってみたら、取説のスペックより約50g増えていた。

 

 サポートの方の真面目な人柄は十分理解できても、まだ、いろいろ納得できないことが多く、その後もサポートセンターに質問メールを送ってみたが、修理以外の件はBCPLAY提供元である「蔦屋家電エンタープライズ様から連絡をする」ということだった。

 その後いただいた連絡メールには、まず「BTRモードで再生時間は6時間、BTEモードでの再生時間は45分」と言うのは「仕様」であること。モードによって再生時間が異なるので、最長時間である6時間だけを取説に記述したことが判明した。

無償バッテリーアップグレードサービスのお陰で、最初はSUPER SESSION1枚も聞けなかったのに……アップグレード後はVANILLA FUDGEの後半まで聴くことができた

 ただし取説の説明が不十分であるため、個別に申告のあったお客様には無償バッテリーアップグレードという対応をとっていること。アップグレードの件は公式ウェブサイトなどでは記載しておらず、今のところその予定もないとのことだった。

 筆者は当初、この商品の企画段階で、BTRモード(図①)での使い方がマジョリティであるという市場調査に基づく判断の元で作られたものであると思っていた。そのため、BTRモードでの再生時間である6時間だけを記載したと思っていたが、企画側は特にそういう意図はないようで一番長い時間を記述したとのことだ。ビックリした。

 企画側としては、基本的にBCPLAYを据え置き型ミュージックレシーバーとして活用してもらい、多様な使い方のひとつとしてBluetoothスピーカーやBluetoothヘッドフォンを終端再生装置として使う(図②)ことも理解しているとのことだった。

 そんな中で最長の再生時間である6時間という数値を記載した……ということのようだ。残念ながら、やはり「再生モード」により6時間とたった45分という8倍もの大差があるなら、取説や公式ウェブ上の記載も即刻訂正し、希望者へのバッテリーアップグレードの件も正式公開すべきだろう。

 商品企画段階での詰めの甘さは否めないが、もっともっと忘れてはならない大事なことは、今回の件では、今のBCPLAYは単なる「Bluetooth機能付きのCDプレーヤー」というだけではなく、蔦屋エンタープライズの誠実さの踏み絵になっていることをユーザーの立ち位置で理解していただきたい。

意外と面積の要るBCPLAYの最終的な置き場所はまだ決めていないが、スピーカーとBluetooth接続のBTEモードでも、バッテリー駆動時間が5倍の4時間弱近くになってやっと居場所が見つかった感じだ

 同社ウェブページの商品紹介トップに登場する、あたかもBluetoothスピーカーとペアリングして、読書しながら音楽を聴いているお兄さんも、お茶を飲みながらBluetoothヘッドフォンで音楽を聴いているお兄さんも、再生時間はたった45分で、今年の年末にはカラヤンの第九は終わりまで聴けないことを知っているのだろうか? 写真は商品の参考イメージです……ではすまされない。


T教授

今回の衝動買い

アイテム:「Bluetooth機能付きのCDプレーヤー「BCPLAY_」
・購入:二子玉川 蔦屋家電
・価格:1万3200円
・内蔵バッテリーを1000mAhから4000mAhに無料アップグレードしてくれるサービス窓口は、スムージィ BCPLAY_サポートセンター(メールアドレスは取説に記載)


T教授

 日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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